10/21/02

会社更生法と日本経済 3(金融機関の倒産 2)

金融業は、生活保護機関では有りません。商売です。
新聞等は、『貸し渋りがいけない』と言わんばかりの論調で溢れていますが、貸しても返してくれそうも無い所に貸したく無いのは当たり前の企業行動ですから変な議論です。
生活保護機関と思い違いしているのでは無いでしょうか?
もし、貸し渋りがいけないと言うのならば、不良債権は、全額国家が面倒を見るべきでしょう。
銀行は、金を貸すのが商売ですから、借りたい人がいたら幾らでも貸したい筈です。
建築会社が潰れれば、同業者がその顧客を直ぐ奪い、雪印が潰れれば、同業者がその顧客を直ぐ奪いたくなるのと同じです。
銀行は貸すのが商売ですから返してくれる能力の有る客が借りに来れば、その客が元ライバル銀行の客であろうとなかろうと貸したくて仕方ないものです。(ライバル銀行が潰れなくても、優良企業には、平行してでも貸しているのが普通です。)
他所の銀行が貸してくれないという顧客企業の泣き言は、自ら、『借りたら返せないのに借りようとしている』と言う事を自白しているようなものです。
借金をして返す能力のない企業が、更に借りられなくて、倒産したから言って,社会全体が困る事は有りません。
この事は建設会社や雪印の例で述べたと同様で、同業他社がその事業を補充しますので、社会全体が困る事は有りません。
銀行の顧客には、建設業ばかりで無く、流通その他多種多様な業種が有りますが、その中の赤字体質の会社が潰れても、同業他社がその顧客を奪うだけで、消費者には影響が有りません。
近くの、なじみのお店が潰れると、買い物に不便になると言う意見も有りますが、本当に大勢の人が不便になる場合は、業者の方で折角のビジネスチャンスを放置するはずが無く、直ぐ最新の業態で空白地帯に新規出店するのが普通ですから、消費者には寧ろ良い結果になるでしょう。
また同業他者が、売り上げ増に応じて、規模拡帳や従業員の補充をしますので、雇傭総数は変わらず、却って新たな設備投資(新規出店が普通でしょう)が発生する可能性すら有ります。
こうしてみると品揃えが悪かったり顧客を引き付けられない駄目な店は、早く退場した方が、寧ろ日本の流通業全体の平均的レベルを引き上げる事になるのです。
寒い冬があってこそ、樹木が引き締まるように、不況が筋肉質の社会を作ると言う格言(私が勝手に作った格言かな?)が有りますが、 現在のように弱者救済と言うばかりで、温室で冬を越させるような、赤字体質の会社の温存策ばかりを考えていると、逆に日本の体力が、消耗してしまうでしょう。
金融機関の倒産による特徴は、個別企業の倒産と異なり、多様な業種の不良会社に対して、一斉に、且つ、一方的に引導を渡すところに有ると言えるでしょうか?。
そう言う意味では、影響が広範ですが、その代わり木を揺らせて落ち葉を一斉に落として落ち葉掃除をすれば効率が良いのと同じで、社会の再生には、却って効率が良いと言えるでしょう。
個別企業にとっては、早晩来る退場の時期が、少し早まるだけの話です。
こういう意見に対して、『痛みを感じないのか』と言うお叱りを受けそうですが、『倒産や債務整理を先延ばししても良い事は全くない』と言う私の日常業務での意見・ーーこの考え方は、法律家共通と思いますよーーから言っても、早めに整理する方が、その倒産企業自体の為にもなるのです。
この事については別に債務整理のコラムで書きたいと思いますので深入りしません。
多数の会社が一斉に倒産すると受け皿の企業が無いのでないかと言う意見も考えられますが、銀行の顧客企業は多様ですので、それぞれの業界にとっては、倒産する企業は僅かですから、(業界内の競争に負けた会社が倒産するのですから、必ず、直ぐ補充出来る会社が存在する筈です。)受け皿が無くて苦労すると言う事は考えられません。
こうしてみると、銀行の倒産は、あえて阻止しなければならない程の特殊性が無い事がお判り頂けたと思います。




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