10/09/02

裁判の仕組み 7(不告不理の原則)

前回のコラムで、被告が争わない事は、それ以上、詮索せず、それを前提に審理が進む事を書きました。
では原告が求めていない事迄裁判をする事ができるでしょうか?そんな余計なお世話になる事をする必要も無いし、やってはいけないと言うのが、民事では処分権主義と言い、刑事では、不告不理の原則と言うものです。(法律家と言うものは古色蒼然とした古い言葉を使っていますが、そのうち、現在風の熟語に変わるでしょう。)
何故こんな当たり前の事が、学問上問題となり、ひいては、私のような平凡な弁護士が知っていなくてはならないかと言うと、訴訟の途中で、原告の請求している金額が誤っていて、もっと損害の大きい事が分かった時等に、裁判所は、原告の主張金額に拘束されると言う事になるので注意しましょうと言う程度の事で、それほど難しい問題では有りません。
しかし、前回のコラムで少し書いたように、金額だけでない、ややこしい判断を要することもあります。
まして刑事事件では、大変な事になる事が有ります。
たとえば、殺人で起訴していた時に、単なる傷害の責任しか無いとわかった時は、そのまま判決出来ますが、傷害で起訴していたところ、裁判中に被害者が死んでしまったらどうなるか?検察官が訴因(難しい専門用語ですが、簡単に言うと、検察官が判決を求めているテーマと言う程度に理解して下さい。)変更しない限り、裁判所は、傷害致死罪の判決を宣告する事が出来ません。
窃盗犯人と思って公判請求したところ、窃盗犯で無く窃盗犯人から盗品を買い受けた人であると、裁判の途中でわかった場合に、そのまま、裁判所が、盗品譲り受け罪で有罪判決出来るかと言う問題となります。
話が元に戻りますが、刑事事件でも、裁判所が事件を見つけて、裁判をする事が出来ない点は、民事事件と同じです。
原告官である検察官による起訴があって、初めて裁判が始まるのです。




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