10/08/02
裁判の仕組み 6(処分権主義)
民事訴訟手続きでは、原告または被告が、争はない事は審理しない事になっています。
裁判所から見て、本当はこうじゃ無いかなと思っても、不利益を受ける当事者が認めている以上は、証拠調べ等する事はしません。
たとえば、建物を明け渡せと言う訴訟で、被告がはい、直ぐ出ますと言っているのに、裁判所が出なくて良いと言う判決を書く事は出来ませんし、お金を返せと言う訴訟で、被告が返しますと言う以上は、裁判所は、その借用書は怪しいから鑑定してみると言う事は出来ません。
民事事件と言うのは、当事者で争っている限り裁判所が判断すれば良いので、当事者が納得してる事迄、裁判所が、『これ、裁判したら良いんじゃ無いか』と言って行くのはおかしい事であるばかりか、許されない事は、誰でもわかる事ですね。
裁判所は、受け身に徹していて、訴えがあった限度で審理、判決するようになっています。こういう考え方を、処分権主義と言っています。
例えば、原告が500万円請求している慰藉料請求の裁判で、裁判所が審理の結果800万円迄認めて良いと考えても、800万円を支払えと言う判決を言い渡す事は出来ません。
原告が求めた以上の裁判をしてはいけないからです。
又、賃貸借契約の更新拒絶による明け渡し請求事件で、原告(貸し主)に対して、更新拒絶の補完材料として、(このままでは拒絶の正当事由が足りない時)裁判所が被告に対して明け渡しを命ずると共に、被告が金銭の要求(立退料)をしていないのに、原告に対して、金何円を支払えと命ずる判決を言い渡せるかという問題になって来ます。
このように、国民が求めていないのに裁判してはいけないと言う当たりまえのような事でも、意外に事件の内容によっては、その境界が難しいので、気をつけないといけないのです。
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