10/05/02
裁判の仕組み 4(裁判所)
では争いを裁く役割を担っているのは何と言うのでしょうか?
一般的には『裁判所』と言っています。
『裁判所』と言う言葉は、官署を現わす場合、例えば、千葉地方裁判所、東京地方裁判所と言う使い方と、個別の事件に対して判決を宣告したり決定したりする機関としての『裁判所』との2種類があります。
官署としての千葉地方裁判所を構成する人は、書記官やその他の事務職員、守衛に至る迄いろいろ有りますが、特定の事件の判決を宣告する機関としての裁判所の構成は、裁判官でなければなりません。
この辺で分かったと思いますが、裁判官と言うのは、裁判・裁く機関の構成員を現わすものであって、裁判官が裁判するのでではなく、裁判官が構成している『裁判所』が判決を宣告するのです。
2人又は、もっと大勢の利害の絡まったあらそいを、裁くのが『裁判所』と言う機関です。
調理師が魚を『裁いて』活き造りを仕上げるようなものと言えるかな?
具体的な事件を担当するアンパイヤーである裁判所を、学者は、『受訴裁判所」と言い、官署を現わす裁判所と区別しています。
裁判手続き上頻繁に使われる『裁判所』という言葉は、アンパイヤーとしての『受訴裁判所』を意味するのですが、言い回しが技術的なため、『受訴』を省略した言い方であって、官署を意味するものではありません。
例えば、次回期日をきめる時に、『裁判所としては00日が良いのですが、』と言う時は裁判をしている受訴裁判所(普通は独りの裁判官が担当していますので裁判官自身と一致します。)の日程を言っているのであって、千葉地方裁判所と言う何十人の裁判官やその他の役人全部で構成される日程を言っているのではありません。
ある事件で『裁判所としては、次回から、証人を調べたいと考えていますが、』と言う場合も、受訴裁判所の事です。
その他に、民事訴訟法に、『裁判所は・・・』と書いているのは全て、受訴裁判所の事です。
『千葉地方裁判所がこう考える』と言う事はあり得ないのです。
中央警察署であれ、東署であれ、官署としての役所が、意思表示する事はあり得ないと言ってもいいでしょう。
話が複雑になって来ましたが、裁判をしている機関を裁判所と言い、その裁判所を構成している人を、裁判官と言う事が分かっていただければ良いと思います。
弁護士が裁判をしているように見えても、裁判をしている当事者は原告・被告本人であって、その代理人弁護士ではありません。
弁護士が発言したり主張する時は、『原告としては、とか、被告としては』という主張をするのであって、自分の主張するのではありません。
裁判における裁判官の発言も、裁判官と言う個人の資格ではなくその裁判官が構成する『裁判所』としての発言になるのです。
弁護士が原告・被告の代理人に成れる資格に過ぎず、個々の事件では、どちらかの代理人として行動していて、裁判している原告や、被告そのものではないのと似ています。
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