09/27/07

贈与6(民法273)と対価2

贈与は契約ですから、双方の意思の合致が要件ですので、親が一方的に「やるぞ、」と言っても贈与契約の成立にはなりません。
子供が「ありがとうございます」と言って、受け取る意思を表示して成立するのです。
すぐに返事しないで、「少し考えさせて・・」といっている内に、親から「やめた」といわれるとおしまいです。
これは契約未成立段階ですから贈与の撤回ではなく、契約申し込みの撤回にもなるでしょう。
贈与での撤回は、契約成立後の撤回を認めたものですから、せっかく「ありがとうございます」と、お礼を言って、頭を下げて、めでたく契約が成立しても、文書にしていないかぎり未履行分は撤回できるのではがっかりです。
口頭約束のときは撤回できることに意味があるのではなく、裏から言えば文書まで作れば撤回できないとしたことに法的意味があるのでしょう。
政治家や役人が、ただで何千万円も業者から貰うには、間接的かも知れませんが、それなりの「見返りの仕事をした筈」と推測されるのと同様に、個人間でも夫婦親子は別として、文書を書いてまで約束するのは、それ自体の対価はなくとも、それなりの何かがある筈です。
厚労省の元局長が、妻の従兄弟である老人ホームの経営者から、車を貰ったり、建築資金の融資を受けていたことが社会問題になっていますが、親子でもないのに、全くの無償で、大金を貰うなどは普通はないことです。
その対価が直接的でないので、対価関係の証明できないことが多いのですが、文書で貰っておけば対価の証明がなくとも相手が撤回できなくなるから安心です。
(裏口入学の口利きや、政治家の各種斡旋など表に出せない取引行為を、法が保護しなければならないのかは、別問題ですが・・・。)
そこで民法は、そうした場合の対価関係を証明しなくても済むように、贈与であるとしても取り消せない・・口語体条文では撤回できないとしたものでしょう。
政治家や役人が、一方的に業者から、無償で物を貰うことはないのです。
厳密には、政治家や役人が業者から受け取るのは、何かの見返りであることが多いので、実質は贈与ではありませんが、「これはやばい」と思ったら、つき返せばいいという原理が、この条文にあります。
勝手に送りつけられただけで、有難うとも言ってないし、受け取るとも言ってないから、そのままでいいのではないか?と思う方がいるかも知れません。
そうではないのです。



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