09/26/07
文語体から口語体へ(刑法)
口語体民法は17年4月1日施行ですから、前回紹介した文語体条文はその前の下書きということになります。
今になると、旧文語体の条文をインターネット探そうとすると、見つからないものですから貴重な資料になりました・・。
文語体当時の六法全書をまだ当然持っているのですが、これをそのまま手で打ち込むのは、カタカナに変換したり、意外に手間がかかるのです。
(そのうえ、当用漢字ではないのが多くて、パソコンでは簡単に出ないのが多いのです。)
法務省による改正の解説を見ると、「彊界」を「境界」に「囲繞地」を「その土地を囲んでいる土地」に「溝渠」を「溝、堀」に、僕婢を「家事使用人」に「薪炭油」を「燃料および電気」に置き換えたと解説しています。
刑法は、平成7年に口語体になったのですが、刑法などは、もっと凄い漢字が多いのです。
原文は、すべてカタカナの濁音なしです。
刑法(旧規定)
第104条[証憑湮滅]
他人の刑事被告事件に関する証憑を湮滅し又は偽造、変造し若くは偽造、変造の証憑を使用したる者は2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処す.
現行口語規定
(証拠隠滅等)
第104条 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
第185条(旧規定)
偶然の輸贏に関し財物を以て博戯又は賭事を為したる者は、50万円以下の罰金又は科料に処す.
但一時の娯楽に供する物を賭したる者は此限に在らす」
現行口語規定
(賭博)
第185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
証憑は、今でもまだ、少し使いますので、読めるし、意味の分かる方が多いと思いますが、湮滅となるとどのように発音するかさえ分からない方が多いでしょう。
湮は、水に沈める・・隠すほかに墨の字をにじませるなど多様な意味があるので、現在の「隠」すという文字に単純化すると少し違ってくるかも知れませんが、現在の解釈では、漢字の意味ではなく、要は「効用を毀滅する」ことですから、どんな漢字でもいいともいえるのです。
185条は、以前紹介しましたが、賭博罪の文語体規定です。
輸贏という文字を読める人も、パソコンで打ち出せる人も少ないでしょう。
06/10/07「賭博3(刑法86)賭事博戯の合体」のコラムでも書きましたが、単に文語体に変えただではなく、賭事と博戯をあわせて、今では賭博という一つの熟語にしています。
ここでも漢字の意味よりは、従来の解釈で分かるからということで財物性も省略してしまいました。
このように、民法同様に文語体から口語体に変えただけと言いながらも、よく見ると少しずつ法文を変えていることが多いのです。
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