09/17/07
不動産と動産(民法261)
以上のように、取引形態によって、第三取得者出現可能性を見ると、対象物が、トラックに積んで運べるかどうかは、法的に意味が余りありません。
そういう区別ではなく、何回繰り返して所有権移転が出来るかどうかこそが、第三者保護の必要性に関する法的効果を区別する原理であるべきだったでしょう。
民法制定論争当時は、租税の金納化で、農民は土地を手放すしかない状況下で苦しんでいましたので、土地所有者の保護はそれの保護・・反動でもあったのでしょう。
現在の小泉改革で、苦しんでいる地方のご機嫌取りに向かって政治の巻き戻しが始まろうとしているのと同じです。
大陸進出・・日中戦争も農民の窮乏化が下地にあったものですが、農民は時代適応力・・変身が下手な分だけ政治家にとっては手ごわい相手です。
民法制定当時はお金を払う方は近代商人で、これら財産(主として土地)を売る方は、取引になれない農民その他前近代人であるから、彼らから出来るだけ財産・土地所有権を守ってやると言う発想で出来上がった法体系だったと読めます。
準禁治産者制度・・現行の被保佐人制度も、未成年者の取り消し制度も、現存利益を返せばいいだけですから、これまで紹介しているように、ともかくお金を払った方が損になる・・土地取り戻し側が有利な仕組みです。
土地を買った場合ですと土地がそのまま残っているので(腐りませんし消費も出来ません)、現存利益としては却って損になりますが、未成年者や知恵の足りないものがお金を出して土地を買うなどは滅多に考えられませんので、民法としては土地を売ってしまった場合の保護・・取り戻しを考えているのです。
現在では、近郊農地は一応開発し尽くされ、他方過疎地の土地は、売り物にならないのです。
人口減・高齢化の影響で、都市中心部集住傾向となって、近郊への広がりは止まって、むしろ縮小傾向なのです。
工場用地も重厚長大化ら軽薄短小へ移ってきたので、新規産業への投資も過去の巨大な工場跡地内での設備更新などで間に合うのが普通です。
こうして、弱者の売る土地が少なくなってきた現在では、弱者=消費財の買主保護・・消費者保護に重点が移ったのです。
消費財の売買の場合には、09/14/07錯誤4「(民法255)原状回復4」まで書いた車の例に限らず、今度は売主のほうが原状回復では大損となります。
法は中立・・弱者も強者も原状回復では同じ扱いとは言っても、実際には、被後見人あるいは能力の低いものや未成年者が土地を買ったり、パソコンやゲーム機を売る方に回ることは実務上皆無に近いのです。
(古本の持込などパソコン・ゲーム機などの中古品の持ち込みは子供に多いでしょうが、ここで問題としているのは、商人としての売買です。)
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
