09/15/07

原状回復3(民法254)

機械類などの場合、それぞれの製品・・テレビ、冷蔵庫、パソコンなどの原価償却率が参考になるべきでしょうが、これも政策的考慮で、実際の耐用年数・・経済実態と違っていますので、正確には、結構難しいのです。
まして消費財の場合、仮に半年でも使った物は、もはや原価償却だけした定価で売れるほど中古市場が成熟していないのです。
(洋服やカーテンなどは、多分永久に中古市場が育たないでしょう。)
ここ数十年前から、土地以外の高価な取引対象が増えているのですから、学者も明治以降の考え方をそのまま研究していないで、こうした場合の公平な処理について研究してほしいものです。
ついでに言えば、土地の利用と金利の関係も実は変ってきているのです。
昔の農地売買の場合、購入後引き続き同じく稲作や蔬菜生産に励んでいる時代には、3〜5年間の土地の利用料・・収益はまさに同期間の金利に匹敵すべきだったでしょう。
これが今では、仕入れた土地をマンション用地や工場用地・・ショッピングセンターなどにすべく年単位で、開発行為など各種認可申請や準備行為で費やすのが普通です。
こうして、購入後1〜2年経ってから無効の裁判が始まると、工場建設やマンション計画はリスクが大きいのでストップしてしまいますが、この間土地利用利益などひとつも得ていない(むしろ出費だけです)ことが普通です。
他方で、休耕田や山林の売買の場合、売主がその土地を2〜3年使えなかった損失は皆無です。
A→B→C→D→・・・M→Nと順次所有権が移転していた場合、AB間の契約が文書偽造や錯誤・あるいは公序良俗違反などで無効になると、最後のNの所有権が否定されて、Aに戻りますが、当然Nの前主Mには何の過失もないでしょうから、Mに対して損害賠償を求められず、Nは払った代金を回収できるだけです。
この間に順次土地の価格が上がっていると、錯誤のあった最初のAが膨大な利益を得ることになります。
最後のNは土地改良行為などの投下した資本が、すべてパーになる関係です。
もちろん前主Mは受け取ったお金をそのまま持っているいる筈がないので、(新たな投資など使い道があって土地をお金に換える・・売却するのです。)100%の回収すらおぼつかないのが普通です。
このように、今は明治とは時代(経済実態)が変っているのですから、現在社会に適合した原状回復・・結局は公平の理念ですが、、こうした研究が進んでいないようです。
あるいは、錯誤無効の理論は、理念の走りすぎ・・・何事でも意思主義で統一しようとする近代理念のひずみが出ているのですから、実務では出来るだけ制限的に解釈していく方向にすべきかもしれません。
(近代思想の基本である意思の重視が、破綻している点は精神病者の犯罪?で、9月12日・・・・3のコラムに書きましたし、09/10/07「受益の程度(憲法226)健康保険法1」選挙権のコラムでも書きました)
原状回復における一方の損害は、債務不履行による解除の場合ならば、契約違反をした方の責任ですから甘受すべきですが、錯誤や取り消しの場合、契約当事者のどちらも責任がない場合ですから、結果が公平でなければなりません。



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