09/14/07

錯誤4(民法255)原状回復4

明治から戦後までは、裁判するほどの価値のあるものは、土地くらいしかなかったでしょうから、契約が取り消しや無効になると、原状回復の方法は、お互いに受け取ったものを現状で返すと言うものです。
土地を買った者は、そのまま土地を返し、お金を受け取った方は、受けとった元金だけ返すのです。
その間の土地利用利益は、お金をもらった売主の金利利益と相殺で公平だという単純な説明が、今でも学者の解説の中心です。(私の勉強不足ならごめんなさい・・。)
何しろ明治以降物価は上がるもの・・ましてや土地相場は上がる一方でしたから、その値上がり益が無効や取消権者の利益になるだけでした。
また、それが目的で(メリットがあるので)弱者救済の取り消しや無効の訴訟があるのです。
(売った方は3年前の相場の代金を返して、相場が2倍になった土地を取り返せるからです。)
値下がりが普通ならば、取消し訴訟などやる人はいなくなるでしょう。
また値下がりが普通ならば、これを仕入れて売ろうとする業者も、見込み違いの例外的場合以外には存在しません。
現在の不動産鑑定理論で採用されている収益還元法も、基本的には利用利益とその期間中の金利が同じと言う考えです。
土地評価に当たって採用される収益還元法は、(結論は、取引事例経済動向などとのミックスですが・・・その前提としての評価法の話です)利回りを法定利息の5%と想定して、逆算して土地の更地評価を出すのが基本です。
原状回復理論は、収益還元法と考え方が同じですが、民法理論の方が早くから発達していたので、鑑定手法として民法で定着している手法を取り入れただけの可能性があります。
契約解除あるいは取り消し、無効による原状回復としては、契約履行後元に戻すまでの、土地利用をしたことによる利益は、土地の時価・・・すなわち売買代金総額の金利と均衡する(金利=収益)から、お互いにもらったものを返せば良いいというのです。
これはこれで、一見正しいのですが、土地以外の元本の目減りする資産取引が増えてくると、土地のように元本が目減りしない事例を元に議論しても参考にならないのではないかと言うのが今回のテーマです。
車で言えば、新車価格に対する金利だけでなく、元本も含めた月額ローン同額くらいの割合で元本が目減りしていくのですから、その支払いをしないと不公平になるのです。
5%の金利だけで良いとなれば、5年間後の原状回復(車の残存価値は20〜30%でしょうか?)でも、その間の5%×5=25%の金利と対等であるというのは、おかしいのです。
これまでの学者の考え方は、元本の目減りを全く考慮しないで、元本がそのままあるとした利用料だけを見ているのです。
年5%ですと、20年かかってやっと新車価格の100%ですが、そんなに長く乗れる車はないのですから、直ちにその不公平性が明らかでしょう。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資