09/14/07
錯誤4(民法254)原状回復3
もうひとつ、ここ数年争っていて、つい先日解決したばかりの事件も紹介しておきましょう。
これは中古車屋が中古車(マセラッティ)販売に際し、「修復歴なし」で販売したところ別の修理業者に修理で入れたら、「事故車じゃないの?」と言うことになって事件になったものです。
中古車販売業者の言い分は、事故車であることは販売時に説明しているが、[修復歴有り]と表示しなければならない水準に達していないと言うものでした。
販売基準では、どこをどのように直した場合に修復歴有りと表示しなけばならないと事細かに決まっているのですが、その修理業者の指摘では、肝心のコアサポートなど車の裏からみなければ分からないものを全く見ておらず、漠然とした・・この車は事故があった筈と言う程度のもの過ぎなかったのです。
そこで、何も知らないで裁判始めてたの?と言うことになったのですが、裁判が始まった以上は、基準を知っていたかどうかではなく、修復歴表示をするべき基準に該当するかどうか詳しくやるしかありません。
ですから原告の訴状での主張は、事故歴があるのに隠して売った・・・詐欺だから取り消すと言うものでしたが、結局詐欺の主張は無理になったので、錯誤の主張の追加となって、争点が切り替わってきたのです。
その事件では、ちょっとした事故歴があったことは、結局は、あらそいがないのですが、「修復歴あり」と表示すべきだったかどうかの問題だったのです。
これは、もしも「修復歴有り」として表示すべきだったとすれば、性状の錯誤の問題になること自体には争いはありません。
中古車販売業界の表示基準で言うところの修復歴(簡単な修復歴は、表示しなくても良いことになっています)があるか、どうかが争点になったのです。
お互いの認識違いですが、買主はこんな修理があった以上は、錯誤無効だという主張でした。
結局どの程度の修理があったのかの技術的争いになって、日本自動車査定協会の鑑定などを経て、修理の程度・・どこをどう直した痕があるのかとその場合表示すべきであったか否かの争いが続いたのです。
ま、これも和解で終わったのですが、一番頭を悩ましたのは、前記のマンションよりも、もっと値下がりが早く進む原状回復の程度の問題でした。
実務では、和解が多いのですが、教科書事例では土地のように絶対的価値が変らないものを基準に、お金を受け取った方が利息を払うかどうかなどが中心の議論ですが、実務ではそういう静的な事件ばかりではありません。
(土地の時価相場はショッチュウ変るでしょうが・・・土地そのものは腐るわけでもなくねずみがかじるわけでもありません・・絶対的価値は毀損・陳腐化しないのです。)
車その他(パソコンもそうです)今では裁判中に客観価値が極端に低下するものが多いので、公平の見地から、(3年も5年もたって価値が激減した車や先端的機械を返す)というのでは、売主はたまりません。
原状回復をどうするかが、問題になっているのです。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
