09/13/07

錯誤2 (民法250)( 動機・性状の錯誤1)

ここから先は、だんだん、法律専門的になってきて、話がややこしく、難しくなってきます。
法律と言うのは条文の暗記だと思っている方が多いでしょうが、そうではなく、こうしたわけの分からない理屈をこねる・・頭の体操をしているのが法学なのです。
ま、関心のある方だけ、頭の体操だと思ってお読みください。
ただし、錯誤・・思い違いがあれば、常に無効になる訳ではなく、前記のように重大な過失があれば認められませんし、要素の錯誤だけが無効となるのです。
では、前回冒頭紹介した数字の書き間違いは、重大な過失ではないでしょうか?
実は文章全体では、坪単価その他の計算式が別にあったりした場合、表記ミスは単なるミスであって、全体として表示を解釈すれば1000万円と解釈すべきだということになるのです。
ということは、これは錯誤の問題ではなく、表示行為の解釈の問題となるのです。
表示行為の解釈で救済されないような錯誤を主張しても、そもそもそのような錯誤があったと認定されないでしょうから、本当の表示の錯誤はあまり存在しないのです。
そこで、実際的に争いになるのは、以下に紹介する動機・縁由の錯誤が中心になります。要素の錯誤と言っても、馬を買うと言うのに売る方が車を売ると表示していれば、そもそも表示が一致していないのですから、契約が成立していません。
ですから、表示が一致していてそれでも錯誤があると言うのは表示と内心の効果意思の不一致しかないのですが、上記のように表示の錯誤と言うのは、実は解釈で解決する場合が殆ど、実際上殆ど存在しないのです。
ところで、錯誤と言っても、いろんな段階の錯誤があって、契約対象物自体の思い違い以外に、それを決定するための前段階の錯誤として、動機、性状の錯誤などがあります。
こうした錯誤は表示していたときだけ無効を主張できるとされています。
錯誤→無効・・無制限に第三者に無効・・取戻しを主張できることになるので、最初に紹介した1000万円を100万円と書いてしまったような場合と違って、元々そんな程度動機の思い違いだけで、(当事者間で錯誤を主張するのは別として)次々と人手に渡った後でも何年後でも主張できる錯誤を適用することに無理が生じているのです。
動機の錯誤といっても分かり難いでしょうが、たとえば、購入する土地の近くに鉄道の駅ができる・・あるいは近い内にスーパー・が進出し、小学校が出来ると言う情報でこの土地を買った場合、それが単なる噂に過ぎず、後で調べたらまるで見込みがないと分かったときには、「この土地を買う」と言う要素自体には錯誤がないのです。
錯誤があったのは、買おうと思うに至った動機や縁由に錯誤があっただけです。
性状の錯誤とは、馬を買うときに妊娠していると思って買ってみたら、妊娠していなかったとした場合のことで、「馬を買う」という要素自体には錯誤がないのです。



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