09/12/07

契約の効力3(民法249)錯誤1

話がまたそれてしまいましたが、09/04/07「公序良俗違反4(民法248)譲渡担保2」
の続き・・契約の効力に戻します。
契約の内容が一般的国家の基準に合致しても、(公序良俗に違反しなくとも)近代法では意思表示の合致が有効性の基準ですから、錯誤・・思い違いによるものであれば、当事者は無効を主張できます。

民法
(錯誤)
第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

もちろん意思表示が合致しなければ合意・・契約不成立ですから、錯誤というのは、表示された意思は合致していて、契約は成立しているのですが、表示された意思と内心の効果意思が食い違っている場合のことを言います。
卑近な例で言えば、1000万円で売るつもりだったのに、100万円と書いてサインしてしまった場合が分かりよいでしょう。
これを表示の錯誤と言いますが、本当のところ内心の意思と表示した意思の合致がなかったのですから、実質不成立ですから、これを無効にして永久的に取り戻し権を貫徹しても無理がないと言うのです。
しかし、消費財の場合には当事者間だけのことですから、無効にしても無理がないでしょうが、(相手方も一桁も違えばおかしいと気がつくのが普通です)そのもの自体がなくならず、転々する不動産などでは困ります。
無効の効力・・・契約が一旦無効になると、間に何人挟まっていても永久的に取り戻しできることを、08/25/07「無効と有因主義(民法298)第三者保護2」前後で紹介しました。
(ちなみに上記の「民法298」は記載ミスで、「230」が正しいのですが、その次がなぜか229になっているなど前後の連番が2個分抜けいて、いまさら順次直すのが大変ですので、当面そのまま引用しておきます。)
近代の意思主義と言う思想から言えば、有効な意思表示に対してだけ責任を持つのであって、意思の合致がなく無効である以上どこまで行っても無効です。
しかし、最初の契約後・・たとえば売買契約が5年後に錯誤で無効になると、その土地を買った人が転々と何十人介在していても、イキナリ無効になるのでは、第三者には分からない事ですから、こうした制度は問題です。
刑事事件でも、心神喪失者の行為は不処罰ですが、道義的非難に値するかどうかの基準と実際に被害者がいるという厳然たる事実との兼ね合いが必要です。
これが、医療観察法制定の社会的基礎でしょう。
医療観察法については、09/06/06「保安処分9と心神喪失者等医療観察法4」前後で紹介しました。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資