09/12/07

公正競争の整備3(窃盗と著作権法6)

知財というと新しそうですが、他人の知恵・能力の剽窃と言う面では、古来からの泥棒の禁圧と一見同じです。
法形式的には、窃盗は財「物」が対象ですが、知財では財「物」を対象にしないという形式論の違い・・対象の進化がありますが、実は、経済的意味合いはそうした概念の違いだけではないのです。
経済的に見ると実は、知財では自家消費を処罰しないで、取り引きに主眼を置いている点が、旧来の窃盗とは大違いなのです。
 窃盗も最近では、組織的な転売目的がない訳ではありませんが、取引秩序を乱すと言うほどではなく、古典的には、自家消費を処罰するのが基本です。
ただし、窃盗にも以下のように、贓物収受・牙保・故買罪もありますが、これは窃盗目的物の引き取人や関係者を処罰することによって、窃盗犯罪防止を目的とするものであって、取引秩序維持に着目した規定ではありません。

刑法
(盗品譲受け等)
第256条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
(親族等の間の犯罪に関する特例)
第257条 配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

これに対して、著作権法を見れば分かりますが、前回紹介したように頒布しないで自分で楽しむ分には、処罰しないと言うのです。
ミッキーマウスの絵を真似して書いて、自分のノートや部屋に貼り付けても犯罪にはなりません。
これは、どういう点に処罰の重点があるかと言うと、従来の泥棒や横領は自家消費するのが殆どですから、自家消費を処罰するのが基本です。
泥棒が不法領得・・利得を入手することが、処罰の主目的です。
財産犯のキーワードが、「不法領得の意思」にかかっていること自体からも、取引秩序の維持よりは、盗んだり横領したものを懐に入れることを処罰する法意が明らかです。
泥棒が仮に質屋に入れたり、中古重機を海外に転売しても、仕入れた方は相場での仕入れですから、取引秩序の公正さを害するところまでの弊害がなかったのです。



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