09/09/07

普通選挙権の歴史的意義3(憲法221)兵役の義務

他方で政府側としては、近代の地球規模での戦国時代を乗り切るためには、国民皆兵の徴兵制維持が必須でしたが、そのためには、参政権を保障せざるを得なくなった面もあります。
何時の時代でも、義務だけを強制できる政権はありません。
まして、兵役の義務は、何の見返りもなく赤紙一枚で命を差し出せと言うのですから、政治決定の仲間入りさせねばならなくなるのは、洋の東西を問いません。
(傭兵制が発達すればまた別です・・・わが国の武士・・足軽は専門集団と言う意味では一種の傭兵でしょう。)
第2次大戦でグルカ兵の協力を得るために、イギリスがインドの独立・・結局は参政権を約束せざるを得なかったのも同じです。
08/25/05「英連邦の成立とブロック経済化」で、この辺の消息を紹介しました。
アメリカ合衆国の参政権が18歳以上になっているのも、兵役の義務と密接な関連があるのです。
ですから、アメリカでは選挙権が18歳以上であるから、日本でも選挙権年齢を引き下げようという声があるのは、ものごとには歴史があることを理解しない主張です。
また、アメリカの大統領選で、兵役の義務を果たしたかどうか(特にベトナム戦争)がいつも大きな争点になるのは、国民の義務を果たさないでリーダーになれるのかと言う基本的な問いがあるからです。
権利と義務には、裏表の関係があるのは常識ですが、兵役の義務のない日本では、納税の義務と連動すべきは当然です。
話を戻しますと、政府には徴兵の必要性もあって(男子に限ったのは、そういう意味もあったでしょう)大正14年の普通選挙権保障の結果、政治から阻害されていた中間層が、再び政治に参加出来るようになって、自分の国意識が醸成され、社会の発展に資することが期待され、それなりの成果を挙げたのです。
しかし、日本では戦後、兵役の義務もなくなり、今残っている国民の大きな義務は納税の義務だけです。
この最低の義務も果たさずに、組織運営に関し発言するのはおこがましいでしょうし、最低の義務を果たす能力もないものは、そもそもまともな発言する識見がない・・低レベルに堕し易いのです。
戦後は、法制度が変っただけではなく、昭和40年代以降は、社会実質的も、核家族化をはじめ社会の仕組みが変り、家柄や地位の相続が否定され、法の下の平等が保障され、能力に応じた収入もある程度保障される社会・公正な競争社会が実現しているといえるでしょう。
そうとすれば、能力が人並みにあるのに、社会の仕組みのせいで、無収入〜低収入になっている人は、むしろ例外中の例外になったと言うべきでしょう。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資