09/02/07
契約とは?8(民法242)証文社会1
偽造防止策から公正証書や民事執行法に話がそれてしまいましたが、話を契約以前の証文社会に戻しましょう。
今でも金融業者などは、借用書や証文を取るばかりで、借主に書類を渡さないことが多いのは、こうした歴史・・証文の時代から相互対等な契約の時代に変る前の意識を引きずっているからです。
この点は、貸金業法の整備で、最近の登録業者は漏れなく借用書を交付するようになりましたが、私が弁護士になったころは、銀行でも債務者に書類を渡していないことが多かったように思います。
(銀行は渡していたと言うでしょうが、一人二人ではなく大方の場合、もらってなくて、銀行へ行って貰って権利証など来ることが、多かったのです。)
お金の貸し借りは、08/21/07「贈与1(民法216)」以来連載中(現在も贈与の取り消し・撤回との関連で横道に入っているだけです)の贈与とは異なり、誰が見ても、一方的な恩恵ではありません。
(高い金利を払うし、ぼろ儲けするからこそ、金融業が盛行しているのです。)
法律上契約になっているというだけでなく、実質的にも、レッキとした双務契約・・金銭消費貸借契約と言いますが、それでも、貸す方は「貸してやる」と恩着せがましく言い、経済的格差のある関係なので、一方的な関係になりやすいのです。
ただし、契約とはいえ、要物契約と言い、贈与が実行されるまで取り消せるのと同様に、あるいは、それ以上に貸主の地位が保護されていて、現にお金を貸すまでは契約が成立さえしない・・・貸す義務がないという特殊性があります。
ただし、これについては消費貸借契約の予約の問題がありますが、別の機会に紹介します。
民法
第5節 消費貸借
(消費貸借)
第587条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
借りたものは、消費せずに、(自転車や傘など)それ自体を返すのが原則ですが、なかには消費してもよい性質のものがあります。
貸し借りの中で、借りたものを返さずに消費してしまい、別のもので返す性質の貸借を消費貸借と言い、お米や醤油あるいは、お金の貸し借りがこれに含まれます。
(同じ1万円札を返す必要がないし、また消費できなければ、借りた意味がないのです。)
貸すほうが普通は強い関係・・困っている人に貸してやる傾向が強いので、この力関係の格差のために、合理的対等な交渉が成立しないことから、約束だけでは、不成立・・要物契約とされ、貸す義務を負わないのです。
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