09/24/06
江戸時代の裁判5(吟味筋10)と刑事訴訟法62(上訴と執行1)
江戸時代には、判決に不服でも上訴の制度はありませんでしたので、言い渡されると直ぐ執行されます。
実はこの後に書きますが、被告人の納得で刑が言い渡されていたのですから、民事の和解と同じで即時確定するのはあながちおかしなことでは有りませんでした。
この納得を求める習慣が、現在の自白強要にも繋がっていたことを、これまで紹介してきました。
現在では、3審制ですから1審判決があっても、その日から2週間の控訴期間があり、控訴審(高裁)で判決があっても上告審(最高裁・・上告の手続きは控訴の規定が準用されます)があります。
これがすべて確定してから、執行されるのです。
刑事訴訟法
第2章 控 訴
第372条 控訴は、地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。
第373条 控訴の提起期間は、14日とする。
第374条 控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。
ところで、執行と言っても、所払いや江戸追放などでは、本人が守らなければどうにもなりませんから、死刑と遠島の場合を除き、判決遵守を制約する「落着請証文」を提出させたらしいですから、面白いですね。
平成15年12月12日からの刑務所の歴史1〜3で書きましたが、当時は今のような刑務所がありませんから、江戸払いなどの刑では誓約書が必要だったのです。
刑罰と言っても、契約みたいなもの・・・被告人の承諾が必要なものでした。
(これが、自白必須形式になった面もあるでしょう)
(この面でも、民事と刑事の混交時代と比ゆ的に言えるでしょう。)
刑の執行が、被告人に判決を守る気があるかどうか、被告人の気持ち次第だったと言うと今の人は驚くでしょうが、当時の国家権力はこの程度の弱さだったのです。
01/21/04「中世から近世へ(国家権力の強化)1」以来、非理法権天・法理の説明でも書きましたが、国家権力がまだまだ弱い時代であったころには、民間の慣習的考えに従わねば、裁断の強制力がない・・・刑の執行さえ出来ない時代が続いていたことの一例でしょう。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
