09/22/06

江戸時代の吟味筋8と刑事訴訟法55(自白法則1)憲法192

未決勾留(入牢)の話から、また横へ行ってしまいましたが、いよいよ取り調べです。
奉行による1通糾しの結果、未決拘留(入牢)が決まると、下役人により本格的な取調べが行われます。
有罪判決をするには、自白が必要であり、かつ自白だけで足りたのです。
現在は、自白強要にならないように、自白を証拠とするには補強証拠が必要とされています。
日本国憲法を紹介しましょう

憲法
第38条【自己に不利益な供述、自白の証拠能力】
(1)何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
(2)強制、拷問若しくは脅迫による自白又は長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
(3)何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」

これを受けて刑事訴訟法では以下のとおりとなっています。

刑事訴訟法
第319条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁がされた後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
2 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
3 前2項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。」

こうした証拠法則は言うまでもなく、戦後アメリカ法の導入によって創設されたものです。
江戸時代には、こうした制限がなかったばかりか、逆に自白だけが必要とされた為に、こっけいなことですが、証拠があるのに自白を求める為の拷問が行われました。
理詰めで自白させるのが「口問」といわれ、肉体的苦痛を与えて自白させるのが、「責問」です。
責問には、牢問と狭義の拷問とが有り、「笞打」・「石抱」・「算盤責」・「海老責」・「釣責」がありました。
拷問の実施には制限があって、公事方お定め書には、「拷問申付品」として、人殺し、火付け、盗賊、関所破り等を上げ、犯罪の種類を限定していました。
更に上記犯罪に種類はすべて拷問できたのではなく、
   1・・・証拠が確かであるのに、白状しないもの、
   2・・・同類が白状しているのに当人だけが白状しないもの、
   3・・・白状しないが他の悪事によって既に死罪になる者
だけに拷問を限定していました。

上記以外に拷問する為には、評定所の評議が必要でしたから、実際には、拷問は殆ど行われていなかったそうです。
(それだけの証拠がありながら、)理詰めで自白させられないのは、担当役人の無能力を表すものとされていましたので、実際には拷問の許可申請は殆どなかったと言うことです。
何のことはない、今でいえば、証拠があるとき(ちなみに共犯者の自白も補強証拠に使えるというのは、問題があるとは思いますが、今では確定判例です。)だけ拷問が認めれられたのですから、自白がないと処罰できないという硬直した制度が、自白強要の為の拷問を生んだのです。
    「証拠があれば、それ以上に自白は要らないでしょう」
という今の常識から考えれば、変な話です。



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