09/17/06

収容人員数と刑の長短

刑務所のキャパが、刑の長短を決めていると言うとおかしな議論だと思うでしょうが、江戸時代には刑務所がなかったので、死刑か追放くらいしか出来なかったように、現在でも、受け入れ能力の問題は無視出来ないのです。
今では、施設があまっていることが重罰化の合唱になっているのですが、心神喪失者等医療観察法では、江戸時代同様に収容可能人員が実際の運用で問題になっています。
09/08/06「保安処分12と心神喪失者等医療観察法7(入通院プログラムの重要性)」で紹介したように、制度を構想してから病院の建設、人員確保を始めたために、今のところ入院施設が全国で3箇所しかないのです。
毎年千葉だけでも年に十数件申立てがあって、その殆どを武蔵野病院へ送り込んでいると(全国から集まりますので)施設が足りなくなるのではないかと言うことが、第1号事件でも、(事実上?)議論されました。
入院命令になる事例は、簡単に治りそうもない重症事例ばかりですから、一旦はいると長期入院が予想され、回転率が極めて悪そうなのです。
今回私の担当している事件でも、既に3年余りも入院していてどうにもならな事例ですから、これを強制入院させると簡単には出て来られないでしょう。
心神喪失者等医療観察法の精神では、治療の可能性で判断することになっているのですが、実は可能性のなさそうな重症患者だけが収容される仕組みって、実は背理です。
入院者が溜まる一方では、直ぐにも受け入れ病院がパンクしそうだと言うのが、そのときの議論で(事件は重いのですが、一過性の精神障害の場合・・・あまり軽いのは、遠慮した方がいいのではないか?と言う議論です)実際の審判にも影響しているのです。
(第1号事件は既に書いているように通院決定になりましたが、別に弁護人の腕が良かったのではなく、こうした諸事情が総合的に働いたのです。)
このように実務では、学者の議論と違い、受け入れ能力が重要ですから、受入先の収容能力・・刑務所のキャパが実務に与える影響は大きいのです。
そこで、刑務所が箱もの行政の結果余裕が出てくると、16日の2のコラムで犯罪統計を紹介したように、実際は犯罪が減っているのに、重罰化の大合唱になってきたのです。
その結果どうか知りませんが、法定刑の引き上げだけでなく、これまでの刑に比べて裁判所の宣告刑も従来に比べて、1,5倍くらい重くなっているのが現状です。
もしかして、内々に「刑務所が空いているから、どうぞ」と言う勧誘でもあるのでしょうか。



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