09/09/06

刑法65(量刑の幅)

量刑の幅の広さに関しては、例えば、
皆さん御存知の交通事故の場合に適用される業務上過失致死傷罪をみますと、懲役5年以下の刑ですが、実際は、実刑の場合、死亡事故でも1年半程度ですし、傷害だけですと8ヶ月前後の刑が多いのです。
また、窃盗罪は懲役10年以下の法定刑(昨年あたりから50万円以下の罰金刑も選択できることになりました)ですが、実際には初犯は100%近くが執行猶予刑ですし、実刑の場合にも普通は1〜2年に集中しているのです。
もちろん私が現在担当している事件のように600件前後やっている事件では、初犯でも実刑の可能性が大ですが、普通の事件の場合と言う意味です。
このように法定刑の下限に実際の宣告刑が集中しているので、業過致死傷罪の法定刑を10年以下にし、窃盗罪の法定刑を20年以下に倍の重さに改正にしても、実際のところ、宣告刑にそれほどの差が出ないのです。

刑法
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
2 自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

現行刑法が出来た当時は、犯罪者の更生や社会防衛のための柔軟さを兼ね揃えたものであり、当時としては(世界)最先端の刑法典であったと言われています。
その一方で、裁量の幅が広いので、政治的な意図が運用に反映され過ぎれば、人権が侵される危険があり、実際においてはその歴史を辿ってしまったのです。
その克服がなったのは、司法行政権が司法権に移り、人権の尊重を謳った日本国憲法制定以後の事でした。
これが1908年現行刑法・・・・・・実はこの刑法は漢文調でしたのと、余りにも難しい漢字を使っているので、国民にわかり難いという理由から、4〜5年前に内容を全く変更しない条件で、やさしい漢字に代えて口語化されて、現在に至っているのです。
このため全文口語体に書き換えたのですが、新しい法律形式を取らず、一部改正という形式になっています。



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