09/06/06
保安処分8・・(心神喪失者等医療観察法4)
この法案段階の原案は、「再犯の可能性がないこと」を要件とするもので、限りなく保安処分性の強いものでしたので、日弁連は強力に反対しました。
他方精神医学会も「再犯の可能性がない」と断定する鑑定は、医学的に不可能であること・・・・すなわちみんな入院命令になってしまいます。・・・・から反対しました。
そこで、結局「治療の必要性」に後退したので、刑事犯罪の予防(保安)処分から切り離されることになったこと、場合によっては、「治療の必要性・・・可能性がない」と言うことで入院しない決定もありうるのですから、ここまでは日弁連の手柄です。
治療の必要性なら医師が責任を持って判断できるだろうということで決着がつき、(刑事政策・・法務省管轄ではなく厚労省の管轄です)純粋に精神福祉法になった筈です。
そこで、このコラムでの問題意識は、治療の必要性判断による絞込みが、本当に機能しているかどうかの問題です。
実際、昨年夏に私が担当した第1例の事件では、「入院によらない治療を命ずる」と言う決定になりました。
上記事件では、心神喪失者等医療観察法の千葉県での第1号事件ということもあって、鑑定医もこの法律作成時に頑張った人が担当し、張り切っていました。
現在私が担当している2例目の事件では、既に3年以上も精神病院に入院していたのですが、家族の要望で退院させたところ、今回の事件を犯したと言うことです。
任意入院だと本人や家族の要望があれば、退院させざるを得ない本件のような場合こそ、この法律の出番だと言うのが、本法による請求をした検察側の論理でしょう。
しかし、急迫した危険性のある場合には、精神保健福祉法で、これまでもいわゆる「自傷他害のおそれ」に関する医師2名の認定で、都道府県知事が措置入院という強制的入院を命じる仕組みがあります。
それだけでなく、措置入院で入った人が退院するに際しても、本人が自由に退院できるのではなく、都道府県知事による措置入院の解除が必要ですから、なお「自傷他害のおそれ」があれば、医師は上記法律第第29条の4 で拒否できるのです。
本件の人も、3年以上前に、この法律で(強制)措置入院していたのですから、医師が自傷他害の「おそれ」を判定できたら、退院を拒否できなかった訳ではないのです。
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