09/29/05

受験競争の弊(医療と偏差値)

今では、科挙とは言いませんが、今でも試験制度がもっと盛んになっていることを、9月28日のコラムで紹介しました。
どこも彼処も試験だらけですが、医療現場も試験地獄でおかしな現象です。
漢方医学では、ある程度人間学も必要な気がしますので、四書五経の教養も必要だったでしょうが、それでも当時の農民よりも教養がある程度の話であって、それ以上のことは有りませんでした。
今では思想統制する必要のない西洋医学まで、偏差値を競って受験地獄になっています。
西洋医学導入の最初は、英語やドイツ語の理解は洋行経験者でないと分りませんでしたから、当時としてはかなりの高水準の教養が必要だったでしょう。
しかし、現在その程度の教養は国民のホワイトカラーの平均的レベル(のチョっと上)になっているのですから、格別な偏差値である必要がありません。
しかも、西洋医療の現場は、外科手術が基本ですから、医学文献を読める程度の知的水準の有無で足切りし、後は器用さで順位をつければいいのです。
学者は別ですよ。
それなのに、偏差値競争で、最難関学部になっているのは、患者にとっては恐ろしい限りです。
これからの手術は殆どが内視鏡手術ですから、ミリ単位の微細な技術力が手術ミスの有無を分ける時代です。
患者にとっては、治療に当たって、注射もまともに出来ない不器用な偏差値秀才に治療=手術されるのでは怖くて仕方ないのです。
何でもペーパー試験で選抜すれば、公平であると言う信仰は間違いではないでしょうか?
今の試験は、科挙のように四書五経の暗記だけでなく、西洋の先進的な学問を学ぶのだからいいということで始まったのでしょうが、四書五経だって、当時は先進的な学問だったのです。
暗記型受験競争は、実は科挙時代の焼き直しなのです。
中国では元代に240年ほど中断されたものの、清末の1905年に廃止されるまで、約1300年間に渡って続けられたので、中国と周辺世界に大きな影響を及ぼしたと言われています。



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