09/07/05

技術格差交易3(都市国家誕生

交易には製品を求めて出かけて行く場合と、先進地域から持ってきて売り歩く場合の2種類がありますが、先進地域は、輸送手段も進んでいるのが普通ですから、輸出側が出かけることの方が多かったでしょう。
これは現在の国際貿易でも同じで、輸出の増加と船舶など輸送手段の増加がほぼ比例するものです。
ただし、原料輸出の場合は、原産国が技術の先進国では有りませんので、この場合に限っては輸入側が買い付けに出向き、船舶などの手当てをするのが普通です。
その他に土器のように重いものに関しては、職人グループが出来てあちこち渡り歩くパターンもあります。
先に紹介した心臓手術技術伝播方式の古代版です。
石器や土器、青銅器・鉄器などの先進地域では、これを利用した各種新製品が生れますから、これのない地域と比べれば、イギリスの産業革命時に於ける英仏の差どころではない、ものすごい格差が生じたものと思われます。
船の改良・発明などもその一種で、格段に有利な運搬手段ですから、輸送の支配権が一手に握れた筈です。
9月7日の1のコラムで書いたように、石器が出来てこそ丸木船の材料となる大きな木も切り倒せるし、刳り貫くために彫れるのです。
これが古代都市国家が、まず海運に便利な地中海沿岸に発達した所以でしょう。
中国では、瀬戸内や地中海のようにおだやかな海が有りませんから、黄河の河港都市として発達したのです。
(インド洋は大きすぎたので、8世紀前後のダウ船の登場・・シンドバッドの冒険まで待たねばならなかったのです)
これらの伝播力、時間差が現在と古代ではまるで違いますから、一度先進地域になると千年単位で、格差を維持できたものと思われます。
この大きな格差を前提にすれば、台風の中心に向かって風が吹き込むように、古代の方が遠距離間の交易が長期間にわたって必須であった・すなわち古代先進地域はこの交易によって、富を蓄積してきたことが分るのです。
農地の集積した所に町が出来たのではなく、先端的文化の集積した所に交易の必要が生れて、交易に便利な港湾都市が生れるのです。
こうして富が集積したのが、古代の都市国家というものです。
この富の集積が化合して文化まで生み出していき、古代のギリシャ・ローマ文明に昇華したのでしょう。



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