09/28/03

明治維新と学制改革(教育勅語)6

教育勅語は、内容は簡潔で、この勅語自体には、害はないのかもしれませんが、何しろ、戦時中にかけて、国民の精神構造に多大な影響を及ぼしましたものですから、原文を掲げてみましょう。

教育ニ關スル勅語(明治二十三年十月三十日)
朕惟フニ我力皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我力臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ済セルハ此レ我力國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨り朕力忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我力皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

この文章は、漢字が多いだけですから、読めば分かるでしょう。
お定まりのごとく、先ずは、皇祖皇宗の徳と臣民の忠孝を書いて、「此レ我力國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス」として、右翼・軍部の好んだ国体観念が此処で顔を出します。
次に、「爾(なんじ)臣民」は、・・・と言って、要するに忠孝を基本とする儒教道徳に従い「学ヲ修メ業ヲ習ヒ、・・常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ・・・」そうすれば、「獨り朕力忠良ノ臣民タルノミナラス(お前1人でなく)以テ爾祖先遺風ヲ顯彰スルニ足ラン 」と、なんじの「祖先まで顕彰してやるぞ」というものですからすごいですね。
ノーベル賞の田中さんなど、昔だったら、祖先まで、貴族の位にしてもらえたかもしれませんね。
でも、具体的にどうするつもりだったのかな?となると疑問ですね。
先祖代々と言っても何代まで遡って顕彰してくれるのかもくれるのかも分らないし、ずうっと昔に死んでしまった人の位を追贈してもらっても有難くはないですよね。
ま、せいぜい、まだ生きている親くらいがお褒めに預かって喜ぶところでしょうか?
でも実際は、肉弾3勇士とか、特攻隊員の親で、英霊だの勇士だのと顕彰されて喜んだ人がいたでしょうか?
与謝野晶子ではないけれど、「ああ、弟よ君を泣く、君死に給うことなかれ・・・」と言うのが真実でしょう。(この詩の全文は、「05/28/03/明治の思想2」のコラムで紹介しています。)
教育勅語は、簡潔ですが、政府としての言いたいことは、言い尽くしていますね。
この教育勅語は、教育の現場で戦時中、大きな精神的影響を及ぼしたものですが、もともと、森有礼ら当時の立案者は、特定宗教に偏らないように、文章にはかなり気を使って作ったらしいので、敗戦後信教の自由との関係では、文言上は、問題がなく、GHQもその扱いに困ったらしいです。
運用として、ご真影を奉じていたことなどが問題となって、結局アメリカ国務省の意向が廃止と決まって、占領軍民政局も腹が決まったらしいのです。
こうした時間を経て、やっと、この教育勅語が法律上廃止されたのは、昭和23年衆参の国会決議となるのです。
こうした経緯から、敗戦後(ポツダム宣言受諾後)から前記決議までの間、教育勅語は有効であったのか否かが、裁判で争われている事件があり、つい最近判決が出ていますよ。




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