09/22/03

日本国憲法下の総理 7(憲法35) 「新しい酒は新しい皮衣に7」

国務大臣を「・・・相」という用例についての続きです。
現憲法を見ましょう。

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

  1. 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  2. 国会を召集すること。
  3. 衆議院を解散すること。
  4. 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  5. 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  6. 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  7. 栄典を授与すること。
  8. 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  9. 外国の大使及び公使を接受すること。
  10. 儀式を行ふこと


以上の条文に明らかなように、国事行為というのは、天皇が独自に行えるのではなく、それぞれ別の条文で、それぞれの決定権者が決まっており、天皇は既に決まったことについて、儀式を担当するだけです。

日本国憲法下での内閣の助言は、明治憲法下で、統治権を総攬していた天皇の輔弼とは、全く性質が違っているのです。
日本国憲法下での内閣の仕事の中心は、民意に基づく主体的な国政運営ですから、天皇の「相」や「大臣」である筈は、ありません。
民意と言ってもだれも分からないのですから、結局総理は、自分の1存(3権分立による制約があることは別問題です)で政策運営し、それが民意からずれていれば、次の選挙で、信を失うだけのことです。
憲法の条文を紹介しておきましょう。

第1章 天皇
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第4条 

  1. 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
  2. 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第1項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

  1. 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。」

以上のように、日本国憲法下では、天皇は実質的な任命権はなく、形式的な行事を担当するだけです。
内閣や国務大臣は、戦前のように天皇の判断(御聖断)を輔弼して、誤りのないようにする仕事では、ありません。
大臣や総理の用語は、現憲法にあるのですから、憲法の骨格に合わせた用語に改正するまでは、そのまま使うのはやむをえないでしょう。
しかし、マスコミが、国務大臣を「○○相」と報道し、総理を「首相」と報道するのは、現憲法にない用語を、敢えて 60年近くも報道し続けていることになります。
60年近くも前に変質してしまった呼称を、そのまま使用し続けるのは一定の思想的立場、すなわち、戦前の天皇制復帰を目指しているのでしょうか?
それとも、不勉強なのでしょうか?




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