09/21/03
日本国憲法下の総理大臣6(憲法34)「新しい酒は新しい皮衣に6」
明治憲法の続きです。
第二条
皇位ハ皇室典範ノ
定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス第三条
天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス第四条
天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ第五条
天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ第六条
天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス第七条
天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会及衆議院ノ解散ヲ命ス第八条
- 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
- 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ
第九条
天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持し及臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス第十条
天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各〃其ノ条項ニ依ル第十一条
天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス第十二条
天皇ハ陸海空軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム第十三条
天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス第十四条
- 天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
- 戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以之ヲ定ム
第十五条
天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与ス第十六条
天皇ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス
第4章 国務大臣及枢密顧問
第55条
国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス
凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス
このように、国務大臣の役割は天皇を輔弼することであって、天皇は第4条により、元首として統治権を総覧していたのです。
国務大臣は、大臣という呼称のとおり
臣民のトップで あると言うだけであって、天皇に対しては、自由な裁量権が、まったくなかったのです。
そうした時代の総理大臣という呼称を、新憲法でもそのまま使用するのは、単なる言葉の問題ではなく、その考え方として問題でしょう。
それにしても道路公団ごときが総理よりも偉そうな、総裁を称していることが、今回の開き直りを許していることに繋がっているのかも知れませんね。
現憲法制定後50年以上も経った4〜5年前に内閣府の強化が図られましたが、名は体を表すとも言いますので、公団総裁とどちら時代が上か、単語の意味だけでは、分からないような名前はやめるべきでしょう。
総理と言う言葉が残ったのは、新憲法制定にあたって少しでも天皇制・国体の護持に腐心した重臣が知恵を絞って、GHQには、簡単に理解できない総理とか大臣とかの用語を温存したのでしょう。
もちろん立憲君主国家で、且つ、議院内閣制のイギリスでも、a ministerという点を、最大限利用したでしょう。
それにしても、大臣と言う名称にいたっては、今になると時代錯誤も良いところでしょう。
これらの名称を残したのは、国体護持論者の手柄として理解できますし前回のコラムでも書いたように、憲法制定は政治的妥協の産物ですから、それはそれとして評価していい訳です。
私がこのコラムで言いたいのは、60年近くたって民主制が定着してしまった以上は、今の民主国家にふさわしくないから、憲法改正にあたっては、用語を改正すべきだと言うだけの意見です。
憲法改正論者になるのかな?
ところで、現在の国務大臣の実質はどう言うものでしょうか?
国務大臣の互選で総理を選ぶのではなくて、逆に総理の一存で、任免できるのですから、純粋な総理の家臣のような存在です。
天皇の臣ではなく、総理の臣に変わったのですから、せいぜい長官と言うべきでしょう
では総理に代わる、よい名称があるでしょうか?
その前提として、元首は誰かの問題を解決しなければなりません。
明治憲法第4条のような明文がないので、現憲法では、はっきりしません。
敢えてはっきり出来なかったのが真相でしょう。
しかし、今でも国民感情として、天皇は元首ではないと言い切るのには、抵抗を感じる人が多いように思いますが如何でしょうか?
そうすると、内閣総理大臣の実質は、内部的には、国民の代表ではあっても、対外的な国家の代表は、天皇となるのですから、ねじれ現象となります。
その上、対外的な代表権も、天皇は元首かどうかという議論の場でのみ、問題にされるのであって、実質的な代表権が総理にあることも、国際的に認知されています。
そうなると、よほど知恵を絞らないと、内閣総理大臣に代わるぴったりの言葉は見つからないでしょうね。
これに対して、憲法上の明文もなく、法律上使用を強制されているわけでもないのに、総理大臣のことを、首相と言い、国務大臣を財務相、文相、法相等と言いたがるマスコミの精神構造は、おかしなものです。
「相」の意味は、周知のように、「タスク」ですから、天皇や君主の側にあって、補弼する役割です。
戦後憲法下でも、国事行為は、内閣の助言によることとされてはいますので、相(たすく)行為がなくなったわけではありませんが、そうした助言行為は、憲法上ほんの例外的役割でしかありません。
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