09/20/03

大日本帝国憲法発布勅語(憲法33)(憲法の本質・妥協)


次は、発布にあたっての勅語も、見ておきましょう。

朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在 及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス
惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝国ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ 朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ和衷協同シ益々我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム
国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ
朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス
帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時(明治23年11月29日)ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ
将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ
朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ 此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ
御名御璽
 明治二十二年二月十一日
内閣総理大臣      
伯爵 黒田 清隆
枢密院議長       
伯爵 伊藤 博文
外務大臣        
伯爵 大隈 重信
海軍大臣        
伯爵 西郷 従道
農商務大臣       
伯爵 井上  馨
司法大臣        
伯爵 山田 顕義
大蔵大臣 兼 内務大臣 
伯爵 松方 正義
陸軍大臣        
伯爵 大山  巌
文部大臣        
子爵 森  有礼
逓信大臣        
子爵 榎本 武揚

このように発布勅語には、まず冒頭に、憲法は、「朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ」いわゆる欽定憲法として宣布することが宣言されます。(国民の意思によるものではないと言う意味)
次にこの憲法は、いわゆる「不磨の大典」であるという位置付けが出てきます。
これからもよく出る言葉ですので覚えておいてください。
現在の日本国憲法は、不磨の大典ではないのですが、「憲法改正をしてはならないもの」と言う宗教的信念を持っている人が多いようです。 
第2段には「朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ・・・」として、万世一系の思想が、顔を出しています。

そして、「茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム 」と言うのですから、この憲法は、天皇・君主権制限のためのものではなく、臣民に対し永遠に循行スル所ヲ知ラシムめるためのものであると強弁しています。

近代国家の仲間入りをするためには、君主権制限のための憲法を制定するしかなかったのですが、その渋々ぶりが窺えますね。
なお、「06/09/03臣民分際論」のコラムで森有礼と、伊藤博文の議論を紹介しましたが、世界情勢から仕方なしに権利義務を認めざるを得なかった、当時の苦衷?がこの勅語と併せてみるとよく分かります。
いつの時代にも、憲法や法律の制定は、政治的妥協の産物ですから、矛盾した規定が混入している方が、健全なのかも知れません。
ワイマール憲法のように、占領軍が一方的に作った憲法は、完全かもしれませんが、その代わり、占領軍がいなくなった後には、これを守る実質的勢力がいないので、あっけなく崩壊してしまいました。




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