09/15/03

日本国憲法下の総理 1(憲法28) 「新しい酒は新しい皮衣に1」

西洋視察(使節)団の話から脱線してしまいましたが、反動的王政復古ではなく、新しい国家建設・新しい制度であるからには、新しい名称がほしいものです。
また、できるだけ、前時代に使われていた用語を、否定したかったようでもあります。
新機軸の印象付けのためにも、新しく出来た組織である、公益法人(認可法人です)や、内閣、官僚の命名などでは、従来から使われていない目新しい漢語の創設に知恵を絞ったのでしょう。
その結果、江戸時代から使い古されている取締りなどの用語は、(学制に関しては塾など)民間に任せて、役所関係には、参事、知事、理事、総理と言う難しい漢語を使用したように思われます。
こうした発想は、「06/07/03 象徴天皇とは?」のコラムでも書きました。
ちなみに、内閣と言うのは、中国の清朝で使用されていたものを、安直に借用したにすぎませんが、議院内閣制にもぴったりですし、うまい言葉でした。
議院「内の閣」でもあり、天皇の輔弼のための天皇家「内の閣」でもあるのです。
地方長官も、最初は県令などと言っていましたが、結局知事に落ち着きました。
この知事の用例も、宋の時代から「権知○○県事」と言う地方長官の官職が、省略されて「知事」と言われていたものを、そのまま借用しただけですから、新しく造語するほどの勇気がなかったのでしょうね。
その他、兵制でも大きく変わりました。
みなさんおなじみの日本独自に発達した足軽、足軽組頭、足軽大将、侍大将、徒組頭、旗本、馬廻り役等々は、全く姿を消して、士官については、大中小の将官、佐官、尉官、兵についても同様にいろいろ客観化されましたが,煩雑ですので省略します。
学制も各藩によっていろいろでしたが、同じく大中小として整理されてしまいました。
今年の春ころから、教育基本法の見直しの論議が高まっていますので、この機会に、総理の連載コラムが終わったら、順次学制の変遷について煩雑ですが、紹介して行くことにしましょう。
これに限らず、明治政府は、律令制に反して自然発生的に生まれて来た兵制、地方組織その他の日本独自の用語(すなわち江戸時代に使われていた)の否定に躍起だったようにも思えます。
ただし、商人用語は、それ程気にしなかったようです。
明治政府が採用した新用語のいずれもが、原則として、唐代以来中国で変遷して来た制度や名称のうち、都合の良さそうなものを選んで、借用に努めたようです。
これら一つ一つを書いて行っても、結構面白いのですが、脱線しすぎますのでこのくらいで本論に戻りましょう。
「09/01/03/代表と代理、理事の違い」以降の連載コラムで、理事の意味、使われ方を紹介してきましたが、これを前提に明治憲法下で、初めて使われた総理と言う単語を考えてみましょう。
総理と言う単語は、「理」の総代的な意味でしょうから、国務大臣を天皇の理事と考えていたのではないでしょうか?
ちなみに、「国務」と言うようになったのは、天皇家(内廷)のことをつかさどる大臣としては、明治憲法とは別格の皇室典範が同時に制定されて、別格の宮内省が出来たからです。
そう言えば、あちこちに別格総本山とか、別格大社を見かけますが、これにあやかったのかな?
明治憲法で、国務大臣・総理大臣制度が出来た意味は、最上位者としての天皇を予定しながら、国政運営の一任を受けた閣僚・内閣が、天皇の理事として、天皇の意を体して、国政を運営する仕組みを、前提としたものと言えるでしょう。




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