09/08/03
定款と家訓の違い(商法20)
ところで、民法や商法の会社設立の条文の紹介で、これまで、頻繁に「定款」と言う言葉が出てきていますので、ここで定款について説明しておきましょう 。
ただし、民法の財団法人では、定款に代えて寄付行為と言います。
株式会社その他会社というものは、大勢のオーナー・社員が寄り集まって結社するものです。
会=会するということですから、出資する社員が集まって結社したものが会社と言うものです。
今では、これを逆から考えて、会社で働く人が集まっているところを、会社と言い、会社へ行ってくる、出社すると言います。
商法
第五節 解散
第九十四条 会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
- 存立時期ノ満了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ発生
- 総社員ノ同意
- 会社ノ合併
- 社員ガ一人ト為リタルコト
- 会社ノ破産
- 解散ヲ命ズル裁判
第九十五条 前条第一号又ハ第二号ノ場合ニ於テハ社員ノ全部又ハ一部ノ同意ヲ以テ会社ヲ継続スルコトヲ得但シ同意ヲ為サザリシ社員ハ退社シタルモノト看做ス
- 前条第四号ノ場合ニ於テハ新ニ社員ヲ加入セシメテ会社ヲ継続スルコトヲ得」
94条4号を見れば分かるように会社は、社員が一人になれば、社員の集まりではなくなりますので解散事由になっています。
多くの出資者・株主が寄り合って[結社」する以上は、何を目的に結社するのかの基本になる項目を決めておく必要があります。
結社まで大げさでなくとも、他人が集まる以上は、何らかの目的が必要なのは当たり前です。
旅行の募集でも、その目的地があってこそ、客が応募するのですし、集めた以上は、具体的な日程・費用などの取り決めが必要です。
この点、親族などの自然発生的な集団では、目的を定めて集める必要はありません。
ただ、たまたま大物が出たときに限って、何世代にも亘って守って行くべき、家訓や遺訓が作られることがあるだけです。
三井家の三井高利の家訓「浮利を求めず」などが有名ですね。
個人企業の場合は、家訓などと言う大げさなものがなくても、何となくやって行けます。
しかし、他人の団体になるとなんとなく集まっているという訳には行きませんので、吹けば飛ぶような団体でも、なにがしかの集まるだけの目的や約束事が必要になるのです。
そこで、オーナーが、あらかじめ定めた家訓に代わるものとして、法律では定款を要求し、絶対的必要事項とし、これがないと設立できなくしたのです。
こうして見ると、定款とは、法人設立にあたって「あらかじめ大勢でまとめた約束事」と言う意味になります。
定款の「款」というのは、ほかにも「約款」と言う言葉を、よく聞かれると思いますが、不特定多数者とある会社や団体との約束事によく用いられます。
生命保険約款、運送約款などが、その例ですね。
大量生産・消費社会になってくると、殆どの商品販売契約は、約款類似の契約書になっています。
パソコンや車を買ったときに、虫眼鏡で見なければ分からないような小さく、しかも印字が薄くて読みにくい契約書を貰うことがありますが、細かく見る人は殆どいないと思います。
そこで、こうした契約書の効力が問題になってくるのです。
この話は、また別に書くとして、「款」に戻りましょう。
昔は、「款を通じる」などの用例が多かったようですから、条約、連判状などから発達したものかもしれません。
「款」と言う文字の本来の意味は、「まごころ」または、「まこと、」あるいは 「まとまったもの」(商法などの大法典では、第何章第何款という区分けがされているのがそれです。)
と言う意味らしいですから、約款と言うのも確かにかなり複雑な長いものが多いですね。
定款は、大勢で誠をもって、しかも、まとまった事柄を約束したものと言うことになるのでしょうか?
家訓は、有難いものですが、あってもなくともよいものですし、あったところで、立派な先祖の訓(教え)でしかありませんから、法律上守らなければならないものではなく、精神的な拠り所でしかありません。
これに対して、赤の他人同士の結合である会社設立にあたっての、約束事に違反するのは、道義や精神論では済まされません。
北海道旅行のつもりで集まったのに、大阪へ連れていかれたら怒りますよ!
他人間の集まりである結社を前提とする以上は、約束はきちんと守る法律上の義務があるのです。
ゲマインシャフトから、ゲゼルシャフト社会への移行を前提にした法律ともいえますね、
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