09/07/03
取締役2(商法19)
皆さんが、よくご存知の江戸時代の用例で言えば、取締役は番頭さん、代表取締役は、大番頭さんというところでしょうかね。
ちなみに、江戸時代の大店(おおだな)の店主[オーナー)は、実務から離れ、風流の道に励んだりしましたので、今の会長よりはもっとゆとりのあるものでした。
なんと言っても自分の物ですから、いつまでも実権の維持に汲々とする必要がなかったのです。
実務は、大番頭さんに一任するのが普通でしたよ。
ちなみに、法律の世界では、結社する人(すなわち出資者)が社員であって、[民法37条」「09/02/03 理めるとは?(民法101)」のコラム参照)取締役や理事は、社員から委任を受けて、会社経営をする人でしかありません。
商法
第一節 設立
第六十二条 合名会社ヲ設立スルニハ定款ヲ作ルコトヲ要ス
第六十三条 合名会社ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載又ハ記録スルコトヲ要ス
- 目的
- 商号
- 社員ノ氏名及住所
- 本店及支店ノ所在地
- 社員ノ出資ノ目的及其ノ価格又ハ評価ノ標準
- 定款ガ書面ヲ以テ作ラレタルトキハ各社員之ニ署名スルコトヲ要ス
- 第三十三条ノ二ノ規定ハ定款ニ之ヲ準用ス」
この規定は,合名会社の規定ですが、他の会社に準用されていますので、これが会社の基本法となっています。
株式会社については、社員である株主が、自由に株の売買をできるのが原則(取締役会の承認を要すると定款で定めることもできます)ですので、定款で社員の氏名まで定めることを、要求されていません。
それでも、出資者が社員であると言う基本的な考え方は、会社法共通です。
皆さんが、普通に社員と言っている人たち(部長・商法上は、手代?)や課長(丁稚?)から平社員[小僧?)まで)は、その使用人ということになっています。
商法を見ましょう。
商法
第6章 商業使用人第37条 商人ハ支配人ヲ選任シ本店又ハ支店ニ於テ其ノ営業ヲ為サシムルコトヲ得
第38条 支配人ハ営業主ニ代リテ其ノ営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
- 支配人ハ番頭、手代其ノ他ノ使用人ヲ選任又ハ解任スルコトヲ得
- 支配人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ」
37条、38条は、個人商店の大番頭さんを、これからは、支配人として登記すれば、「法律上こういう権限がありますよ」と定めたものです。
江戸時代のままでは、番頭さんの権限が店によって違うので、客観性に欠けたのです。
それでは、取引の安全性に欠けて取引が阻害されますので、法定したと言うわけです。
近代法では、取引の安全を何故重視するかと言うと、近代化して国際的とまで行かなくとも、全く見ず知らずの人同士で取引が成立する社会を目指すためには、同じ名称でも相手がどういう権限をもっているのかが、会社ごとに違うのでは、内部事情をよく分からない人は安心して取引が出来ません。
大手企業の系列の発達は、近代化の遅れの修正と言うところでしょうかね。
そう言う意味では、長年の取引先とか知り合いだけの狭い社会での経済活動を従来通りやっている人には関係ない法律だったと言えるでしょう。
言葉のインフレのコラムでも少し述べましたが、日本では、なぜか平等意識が強くて近代取引に関係ない小さな八百屋さんや、魚屋さんまで株式会社にしてしまいましたので、家訓の変形である定款などは、何のためにあるのか分からずに強制されてしまっているのが実情です。
それでも、商法上では、まだ部長などは出てきません。
06/04/03/の民法典論争」のコラムで紹介しましたように、何しろ明治20年代に草案が作られて、制定されたのですから、部長や課長などのサラリーマンは出現していませんでした。
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