08/30/07

契約とは?6(民法240)民法典成立とその実効性

そのうえ、細かい約束を決める習慣が定着するには、それを実効有らしめる関係法令の整備・・産業で言うところのインフラ整備が必須です。
これがないと、民法でこう書いてある・・契約書にこう書いてあると言っても、約束を守らない者に対する強制執行や法の実現を求められない、・・・セイゼイ仲間はずれにしかできないのでは、絵に描いた餅でしかありません。
電気のない未開地へ電気製品を持って行っても、どうしょうもないのと同じで、あるいは製鉄所や自動車工場の進出では、関連部品工場や、電気設備や水や港湾などが必要なのと同じです。
車を売るには、道路整備やガソリンスタンドなど関連産業が必要なように、民法を実効有らしめるには、経済的には、まず貨幣経済の定着が前提です。
自給自足中心の生活で、時々不足品を買うような社会であった明治時代では、民法が施行されても、国民の多くにはまだピンと来なかったでしょう。
法的には、付属の判決手続きや執行法、執行するための登記、登録システム、戸籍制度、手形法の制定(昭和7・7・15・法律 20号 )や手形不渡りによる銀行取引停止システムなどの整備が必要です。
契約内容を法的に実現する・・強制執行ができるには、経済・社会的にこれを買い受ける物品の流通システムも必須です。
あるいは、たとえば手形不渡り処分・・銀行取引停止処分が強力な効果を持つには、手形取引の普及が必須ですが、一般商売人が普通に手形を使うようになったのは、高度成長期以降でしょう。
その他、戸籍・住民登録制度などなど、周辺法がいろいろ出来上がってきたのが、実は、戦後20年前後も経った昭和30年代後半から40年代です。
現在取引の基礎になっている重要判例も、そのころから確立していきます。
要するに、明治に始まった近代化は、昭和3〜40年代にはいって漸く完成したに過ぎないのです。
こう言うテーマ・・現在は明治政権の続きであるという意味では、これまで何回も書いてきました。
こんな社会状況でしたから、民法制定以前どころか制定後でも昭和の中ごろまでは、細かい約束を書き込んだ契約書を交わしても仕方のないことがおおかったのです。
こう言う大雑把な社会では、細かく条項を見て条項ごとにどういうことが予定されているかなど、吟味する習慣が育ちません。
「違反しないよ・・・もし違反したら、何をされても仕方ない」
と言うお任せ形式・・一かバチカが、今でも普通なのです。
太平洋戦争の敗戦でもそうですが、無条件降伏して、あとはお任せ・・俎板の鯉だ!と腕まくりして座り込むポーーずも同じ精神です。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資