08/30/07
契約とは?5(民法239)
明治になって、政府は西洋並みに絶対権力・・権力が強化されましたが、それはまだまだ刑事分野や統治の機構だけの話で、民事関係の基本ルールが整備されて、民法が施行されたのは、明治30年始めです。
(人生4〜50年の時代に、法律が出来るまで、何と30年もかかっているのです)
民法制定過程については、06/04/03「民法制定当時の事情(民法典論争1)」以下で連載しました。
それまで、何のルールもなかったというわけではないですが、基本となる法律がないのですから、殆どが大岡政談並みの常識に頼るだけの世界だったのです。
(今考えると、道路交通法・・信号もないまま、車が街中を走り回ってるような感じです。
極端に言えば、動物の世界みたいです。
逆に考えれば、街中を車が走るのではなく、日本中が田舎で、(自給自足・・・あるいは物々交換中心社会・・・たまに物を買う程度・・月に一回程度しか車が走らないなら、信号もガードレールもセンターラインもいらないのですから、まだまだ、そういう社会であったということでしょう。
明治も30年も経ってからやっと、民事の基本ルールができたと言っても、元々わが国で定着していた日常のルールを法に格上げしたものではないのです。
日本の経済生活は、まだそこまで行っておらず、西洋社会で通用している常識を前提にした取引ルールの導入でしたから、法律が出来てもすぐには国民の意識に定着はしなかったでしょう。
これが民法典論争の背景でした。
法律というのは、そこの社会実態に合わないと定着できないのです。
現在の社会実態に合わせてある法が出来ても、国民に定着するには、5年10年かかるのが普通です。
(そのための周知期間があり,公布後半年1年以上してから施行されるのが普通です。)
裁判員制度の場合を見れば分かりますが、国民の司法参加にはまるで経験がないことから、裁判員法は、2004年5月21日に本法が成立、同年5月28日公布、公布の日から5年以内2009年までに施行される予定です。
このように、成立後5年の周知期間を置いてやっとおもむろに始める予定ですし、それでも日本社会に定着するには、さらに10数年かかるでしょう。
これなどは国が強制的に始めるので、まだ何とかなるのですが、民法の場合、民間の自由に委ねるべき行動指針でしかなく、自然に契約社会に慣れるのを待つのですから、もっと、時間がかかるのです。
民法が出来ても、社会がそこまで行ってなかったのに、先進国経済で通用している法制度を輸入しただけですから、簡単には定着した筈がないのです。
あたらしい機械システム導入や取り締まり法規の場合は習熟期間がひつようなだけですが、民法的考え方や習慣が身につくには、日常生活の変化を待つのですから一世代以上入れ替わる必要があるのです。
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