08/29/07
契約とは?2(民法236)ちぎり2
いずれにせよ、「ちぎり」や「割符」方式では、一旦別れ別れになってしまった相手・・片割れの識別に意味があるだけで、「約束を守れ」という効力には、あまり意味・関心がないことになります。
第一、約束の内容が具体的では有り得ません。
ずっと時代が下った割符貿易(日明貿易は応永年間ですから1400年代です)の例で見ても、相手が正式な通商団かどうかの識別に意味があっただけで、持ってきた積荷の交易条件については、出たとこ勝負の交渉にかかっている・・・何の決まりもないのです。
前世からの「めおとのちぎり」も、どのような夫婦関係になるかについては、何の決まりもなく、後は、夫婦で良いようにやってくれというだけです。
もちろん前世からの契りを破っても、どうっことはありません。
契約の契と言う文字は、契印という言葉が、今でも使われるように、取引書類を交換するときに、双方所持する文書2枚を少しずらせて、契印を互いに押すことが行われます。
契約の契は、亀甲文字から始まって文字に書きつけたもので、軽い口約束ではないという意味のほかに、ちぎり・・割符の方式も残していて、真偽の照合も出来るというダブルの意味があるのです。
それに比べて約束には、2枚を合わせて文書が真正かどうか確認するところまでの意味がありません。
約束は、固く縛った木簡や竹簡の延長的イメージで、固い結びつき・・意見を変えないという点だけに頼る関係です。
約束違反した場合、その先の効力が、イマイチはっきりしないのです。
(セイゼイこの約束を破ると仲間はずれにされるなど、漠然とした効果しかイメージされていないのす。)
そもそもその前提として、約束自体が基本的事項を決めるだけで、その細目まで決める時代ではなかったのです。
現在流行の契約で言えば、三越と伊勢丹・・会社統合の合意を例に比較してみれば分かりますが、トップ同士で意気投合=合意と言っても、今では、「前向きにやりましょう程度」の意味しかなくて、これを契約とまではいえません。
現在では具体的な、株式配分比率・本店所在地、トップ人事、給与体系のすり合わせ、あの多細目まで決めないと正式契約にならないのです。
昔は「一緒にやろう」と言うだけで、その先は全く考えずに、後はお任せと言うのが普通です。(赤穂浪士の連判状の世界です)
約束と言うのは連判状を巻いておくのと同じで、細かい決め事がなく基本方向の同意でしかなかったから、束を固く縛ったままでよかったのです。
約束以前のちぎりの用例としては、古代神話?伝説の紹介にも「めおとのちぎりを結ぶ」などの言い方がありますが、これは現在人のレトロ的表現でしかないでしょう。
約束という漢語が普及した後・・後世の人が今風の意識で「結ぶ」と勝手に意訳をしている可能性があります。
源氏物語は、前世の契りのような用例が頻繁ですが、原文が出回っていますが、ここにも出てくる夫婦(めおと)のちぎり・前世からのちぎり、転じて、動詞形「ちぎる」が出て来るかというと、まだ出て来ません。
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