08/26/07

有因主義と時効取得1(民法230)

不動産取引には、このような追及を遮断する一般的制度がないので、前回まで書いたようにイザとなれば、自分の買った物件を返して、自分に対する前売主から代金回収するしかなくなります。
この扱いの立法方法については、有因主義(前記の「無から有は生じない」と言う原理です。)と無因主義があって、無因主義だと原則として第三者に元の取引の無効を主張して行けないのです。
わが国の法体系は、有因主義で出来上がっているので、永久的に追及できるのが原則ですから、即時取得制度や善意の第三者に対抗できないなどの例外規定がない不動産に関しては、今でもどうにもならない問題です。
不動産(動かない財産)というように、明治に民法が出来たときの社会状況では、土地所有権は、原則として先祖伝来のものですし、そうたやすく取り引きの対象になるべきものではないから、所有者が滅多なことでは財産を失わないようにという配慮のほうが優先したのでしょう。
そこで、この永久的な取り戻し追及から完全に逃れるには、自分で時効取得するしかないので、購入後10年以上経たなければ、(契約し、登記しただけでなく、占有を続けなければなりません)安心出来ないというわけです。
(前主も善意であれば、その占有期間も通算主張できます。)
こうしてみると、追及効は永久的と言っても10年以上すると買主の取得時効に負ける可能性があるのです。
みなさんが、どこか別荘地を買って、(家も建てず)そのままにして置いて、知らぬ間に誰かに文書偽造で売り飛ばされたとしても、10年以上経過すると善意の買主が時効取得してしまう可能性があります。
もっとも、時効取得するには、占有が要件ですから、自分でその土地を使っている限り、第三者は時効取得できません。
自分で使って(占有して)さえいれば、登記上だけ20年以上前に移転していても第三者に時効取得されるリスクはありません。
仮に、第三取得者が何十人入れ替わったとしても、土地利用者がいるのに、書類上だけでこれを次から次へ買うのは尋常ではありませんから、善意悪意を問わずに保護する必要がないのです。
このように考えると、土地は自分で利用する限度で持ってれば、安心です。
土地でも車でも、利用もしないのに必要以上の財産を持たないのが、賢明と言うことでしょう。
お金だって、必要以上に持つのは害があることが多いのです。
才能はどうでしょうか?
有り余る才能で自滅する人もいます。
この辺になると、無能者のやっかみのほうが大きいかな?

民法
(所有権の取得時効)
第162条 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
(所有権以外の財産権の取得時効)
第163条 所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い20年又は10年を経過した後、その権利を取得する。



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