08/25/07

無効と有因主義(民法298)第三者保護2

一般取引に戻しますと、このように無限に追及できるのでは、物の売り買いや取引を安心して出来ません。
そこで、詐欺、強迫等の取り消しの場合、表意者にも何らかの問題があることが多いので、善意の第三者に対抗できない・・・遡及効がそこで止まることにしたのです。
この後に紹介する無効の場合・・・たとえば国家秩序に反する場合などに比べて、違法性が低い、あるいは、表意者の保護をする必要性が取引の安全を破壊してまで保護する必要性が薄いからでしょう。
詐欺・強迫・といっても意思表示するについて、騙されたなどの保護すべき要素があるものの曲がりなりにも、その「土地を売る」、「買う」という意思表示自体はしているのですから、全く意思表示しなかった場合とは保護の程度が違っても良いという考えです。
ですから、意思表示の不存在ではなく「瑕疵ある意思表示」と表現します。
取り消しに比べて錯誤無効や、公序良俗違反による無効あるいは、意思能力がなくて、契約不成立であれば、行為者=あるいは国家秩序維持の必要性が強いので、どこまで行っても不成立・無効です。
(本当は錯誤の場合、保護の必要性が低いのですが、意思の合致に重きを置く「意思主義」の近代法の原理を覆せないので、強力な無効制度にしたのでしょう。)
その代わり、表意者に重大な過失があれば駄目とか、要素の錯誤でなければ駄目など厳しく審査することになっています。
それよりも、条文上第三者の取得まで無効にするときには厳しく、当事者間だけの事件では、錯誤の成立要件をゆるくする二本立ての条文にした方が合理的ではないでしょうか?
現在は条文がひとつなので、第三者に移転していないときは、軽く認定するなど事実上の2重基準で裁判している印象です。
話を無効に戻しますと、ですから、第一の契約が不成立・無効になると、20〜30番目の契約も無効になってしまう怖い制度です。
無効主張者の権利・・所有権は、時効消滅はしませんが、買い主は時効取得できるので、それによる追及の遮断・・保護があるだけです。
無効での争いが一番多いのが、意思能力のない場合・・あるいは偽造による所有権移転登記が結構あるのですが、これに基づく返還請求を主張されるとおしまいです。
文書偽造による返還請求事件では、こちらは、転々取得者はには、まるで蚊帳の外の事件事情ですから、原告のペースで裁判が進み、終わるのです。
どういう事かと言うと、ドラ息子(というよりは最近は会社経営の息子が多い)が、親の権利証や印鑑を持ち出して土地を売ったり、担保にいれたという事件が多いのです。
この種裁判では、第三取得者はいきさつがさっぱり分からず、原告のつくったシナリオの矛盾を追求するくらいしか戦いようがないのです。
親の入院中に印鑑や権利証をに持ち出されてしまったと言い、息子が法廷で
「そのとおりです。申し訳ないことをした」
とうなだれるとこれを崩すのは、容易ではありません。
セイゼイ印鑑はどこに隠していたのかとか、権利証の保管状況を聞く位が関の山ですが、そのくらいは、原告の弁護士が入念にチェックしてから裁判に出してくるので、説明の矛盾追求で崩すのは、不可能に近いのです。



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