08/24/07

取り消しの効果2(民法227)(現存利益1)

ところで、契約が無効になっても、前売主から代金を返してもらえば良いだろうとは言っても、そうは行かないのです。
5000万円で買った土地を6000万円で転売していたときに、自分は自分の売った先には、6000万円返さねばならないのに自分は、前売主から返してもらえるのは5000万円だけでは、採算が取れません。
(仕入れと販売には、それなりにコストがかかっているのです。)
まして、前売主がその後に倒産していたり、経営が苦しいから半分しか返せないといわれると、目も当てられません。
最後に買った人が、その上に家を建てていると、その家の収去明け渡しさえ求められる関係です。
これに対して、契約違反による解除の場合には、相手に責任があるので、うべかりし利益(儲け損なった利益)の損害賠償まで請求できます。

民法
(解除の効果)
第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。ここでの賠償は、履行利益・・・結局は得べかりし利益・・儲け損なった利益という意味でしょう。・・・の賠償請求できることになっているのです。

これに対して、取り消しの場合には、不当利得と同じ原理で、次回紹介する条文のとおり「現存利益」しか返してもらえないのです。
この中間的な賠償には、瑕疵担保責任等の担保責任による解除があります。
担保責任解除では、債務不履行ではないので履行利益賠償請求までは無理ですが、信頼利益まで賠償請求できることになっていますが、詳しくは、担保責任のコラムで書きましょう。
現存利益の返還ルールは、無効による原状回復・・不当利得法の基本原則です。
ですから、前売主は5000万円しか貰っていない以上、次の人が6000万円で売れていたとしても、その損害として差額1000万円返せとはいえないのです。
たとえば、偽造文書で取引された後で転々と所有権が移った場合、たとえば途中の5番目と6番目の取引当事者間には、何の落ち度もないのが普通ですから、どちらも契約違反にはならず、不当利得の返還請求権しかないのです。
そうなると、次に紹介するように不当利得法だけですから、現存利益の限度しか返さなくてもいいことになります。
別に占有権の分野で、利得償還制度もありますが、複雑になるので、説明を割愛します。)



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