08/24/07
取消の効力1(民法226)善意・第三者の保護1
これらの取り消し権が実行されると契約の効果が遡及的に消滅し、それまで履行した分は原状回復しなければならなくなります。
民法
(取消しの効果)
第121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
前回末に紹介した条文・・・「善意の第三者に対抗できない」とは、買ったもの(土地など)を買受人が転売しているときは、善意の第三取得者=転買人に対して、その土地を取り消したから返せと言えないという意味です。
本来は契約が遡及的に無効なら、買受人は、所有権を取得していなかったことになるのですから、第三取得者は所有権を持っていない人=買受人から、その土地や物を買うことは不可能な話です。
(この原理を、一般に「無から有は生じない」と言います。)
ですから、特別な法的手当てをしなければ、転々譲渡された物の所有権移転がその間に10人いても、全部遡って無効になる理屈です。
この条文で対抗できないのは、善意の第三者だけですが、転々移転する過程で、一人でも善意の第三者が介在していると、そこで完全な所有権の移転が完成しますので、そのあとで、悪意の買主が取得しても有効です。
これまで何回も紹介してきましたが、善意・悪意と言う言葉の意味は、悪徳商人などという道徳的意味ではなく、知っている事を悪意と言い、知らないことを善意と言います。
悪意の中でも、道徳的に許されないような悪意者については、これを区別するために、配信的悪意者という用語が定着しています。
「あの人は人が良い」あるいは、「私は人が良いものだから・・」と言いますが、要するに何も知らない・・物事の善悪を知らない人・・・・無知だと言うに等しいでしょう。
ここから「善人なおもて往生す いわんや悪人おや!」という有名な親鸞の言葉が出てくるのです。
善悪の区別を知らない人の方が、善悪の区別を知っている悪人よりも、ずっと法を犯す可能性が高い・・悪いことをしがちです。
悪人の方が、意外に悪いことを意識的にすることが少ないのです。
暴力団員の方が、どこまでやれば刑事事件になるか知っているので、しろうとよりも簡単には手を出したり凄んだりしません。
悪いことと良いことの境目が分からずに、しょっちゅう善悪の境界を踏み出して日常的に(仏)法を犯している人でも、念仏を唱え、弥陀に委ねれば極楽往生できるという有難い教えです。
これが、親鸞の歎異抄で述べられる、いわゆる悪人正機説です。
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