08/22/07

有効と無効の違い(民法219)

贈与者・債務者が強制されず自分の意思で履行する分には、誰も文句はない・・もともと法で明記する必要すらないでしょう。
「約束事は守らなければならない」と言うのが、ローマ法以来の原則ですし、ローマ法なんか知らなくとも、誰でも知っているルールです。
それなのに、何の根拠も理由もなしに取り消せるのでしたら、契約と言っても、殆ど独り言と変わりません。
わざわざ、いつでも撤回(取り消し)できると民法に書いたのは、   
   「贈与と言うのは本来恩恵であって、貰う方から要求できるものではない」
という精神を確認する意味があるのかも知れません。
それにも拘わらず、あえて、民法が贈与を契約としたのは、文書約束したときや、やってしまったものを、後から受贈者が気に触ることを言ったり、したからと言って、取り返せないところ・・有効になってしまうことに意味があるのです。
(恩知らずめ!と罵るくらいが関の山と言うわけです。)
ところで、契約が取り消しになって、初めからなかったことになる・・無効になれば、一旦貰ったとしても、「法律上の原因なく」利得を得たことになって、不当利得として贈与者がいつでも取り返せることになります。
04/22/07「不当利得法5(貸し金業法12)判例と法律3」などサラ金の過払い金返還訴訟のコラムで連載しましたが、不当利得法をもう一度紹介しましょう。

民法
(不当利得の返還義務)
第703条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(悪意の受益者の返還義務等)
第704条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

ところが、契約が有効なら、取り消したり、解除しない限り、「あいつが気に入らなくなったから・・・」といって、「返してくれ」といえないのです。
贈与の場合、対価約束がないので、(負担付の場合契約違反になることがまれにあります。)相手方の契約違反を理由とする解除のチャンスはありえません。



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