08/21/07
贈与3(民法218)
その代わり、文書で貰っていないと、贈与者死亡後に「生前に贈与約束があった」と証明をするのは、事実上困難な場合が多いので、そういう実務上の争い・・裁判が少ないのです。
(たぶんゼロでしょうから、判例もないし、実用性がないので、学者も論じていないでしょう)
まして、相続争いの前哨戦あるいは税金対策としての贈与が多いのですから、競争相手に見せびらかさねば意味がありませんから、口約束だけの贈与約束は殆ど存在せず、文書にしておくのが一般的です。
文書になってれば、撤回(取り消し)が出来ないのですから、普通の契約です。
ただし、死因贈与の場合は、文書を作っていても遺言書と同じ効力・・撤回自由の原則に服しますので、注意してください。
遺言については、04/03/07「権利移転と恩恵5(民法186)遺言12の撤回」前後で紹介しました。
民法
(死因贈与)
第554条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
上記の条文だけでは、どの程度準用されるのか明らかではありませんが、これまでの判例では、遺言の方式は準用されないが、その他の撤回自由の原則などは準用されると言うことになっています。(最判昭和47年5・25)
死因贈与を別として、普通の贈与の場合、口約束まで契約としての効力を認めるので、ややこしくなっている面があるのです。
口約束だけで契約成立にしたのは、ひとつには、民法の意思主義にも関係するのでしょうが、それだけのことなら、遺言同様に、要式行為として例外化すれば足りるのです。
しかし、要式行為=文書化したときに成立とすれば、いきなり「これをやるよ」と手渡されたときにも、その効力を認めないことになり、不当利得になるのでは困ります。
(「ありがとう」と食べてしまった饅頭を、文書で作ってないから吐き出せと言われても困るでしょう。)
契約が有効かどうかは、法的に強制できるかどうかと言うだけの意味でなく、任意履行を受けたものは、不当利得にならないという意味もあるのです。
言うならば、どこまで行ったら有効にするか・・・有効性の判断は、国家の価値観の表明でもあるのです。
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