08/03/07

タフな言論人の育成4(単細胞の危険性)

われわれ弁護士もそうですが、勝つべき事件でそのまま勝つのは、誰がやってもあまり変わらないのです。
難しいのは、負けるべき事件の負け方こそが一番難しいのです。
負け方には、千差万別と言ってよい程のバラエテイーがあって、その負け方による格差は大きいのです。
負けそうな事件、あるいは話し合いで解決しようとする事件ほど、弁護士が必要なゆえんです。
極端な言い方をすれば、最後まで勝つだけの事件・・・一方的な事件では弁護士・・プロの必要はないのです。
勝ち戦の場合でも、途中の和解が素人には難しいのですが、一方的に勝つだけで終わる事件はめずらしいのでプロが必要なのです。
借金して逃げ回っている人に対して貸し金返還の判決を得ても何の価値もないので、債権者の方で、いくらかでも分割払いの和解をさせようと骨折るのが普通です。
古来合戦では「7分の勝ちを最上」とするように、一方的なシャットアウト勝ちはめったにないというか、結果が良くないからです。
そこで、戦や論争に入るには、勝ち戦の場合でもどの辺で収めると言う予定を立て、あるいは、最終的には勝ちそうもないと見極めたら、どの辺まで進んでどのような和解に導いていくかの見通しを立てて戦っていくのが、戦人(いくさびと)に求められる必須の知略と言うべきでしょう。
少なくとも私の場合、依頼を受けると、勝敗の分析をして、いいところまで行けるが最終判決まで行くと負けそうな場合、どの辺で和解に持ち込める(裁判所の和解勧告をどの辺で引き出すか・・・)かの分析に心血を注いで、それから、「この辺で和解になるがそれでいいか」という了承を得てから、受任するのです。
古来から戦の勝敗は時の運とも言いますので、戦に乗り出すときには、こうした勝敗の見通しと負けた場合の仲裁役の準備などが絶対必要条件です。
対英米戦争・・太平洋戦争では、終局的勝利は望むべくもなかったのですから開戦前に、終わり方に対する詰めをしておくべきだったのです。
わが国では、戦争開始前に偏狭な視野の右翼・軍人ばかりがのさばって、国内的に勇ましいことばかり言って、義経と梶原の逆櫓論争バリにいろんな角度からの言論を封じてしまい、敗戦に対する備えをしなかったために、完敗してしまったのです。
敗戦に対する反省すべきは、軍国主義という抽象的精神論での反省ばかりで済まさずに、小児病的な勇ましい発言をするものに対する警戒心の方こそ育成すべきでしょう。
ましてや、古来から戦の結果は時の運とも言われます。



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