08/15/06

罪刑法定主義と事後法処罰の禁止4(極東軍事裁判の有効性2)

他方、罪刑法定主義(事後法処罰の禁止)は、功利主義哲学によって一定の目的のために提唱されたことも、04/20/06「功利主義とは?2(罪刑法定主義2)」前後のコラムで紹介して来ました。
罪刑法定主義は、功利主義哲学の考えから刑事政策を効果有らしめるための手段として提唱されたに過ぎないものであって、それ自体に価値のあるものでは有りません。
あまりにもひどい犯罪が起きたときには、予め制定されていない法律で処罰しても、法的安定性が欠けることがないとなれば、その限りで、罪刑法定主義の原則の例外を認めてもいいと言う考えだったかも知れません。
あるいは、実質的違法性があることに争いがない場合、たまたま制定法がないとしても、拡張解釈ないし類推解釈で処罰しても不意打ちにならないとも言えるでしょう。
こうした意味で過去の事例を検討してみると、「物とは有体物を言う」と言うのが、民法の定義でしたが、電気を盗んだのは「物」かどうかが争いになった事例、ガソリンカーだったかジーゼルカーの転覆事件で、汽車の転覆罪を適用すべきかどうかが問題となったことがあります。
こうした場合、これは拡張解釈、類推解釈か否か、罪刑法定主義から言って許される場合と許されない場合の区別を学校では議論しているのですが、そんな無理をする必要が有りません。
本質は、国民の合理的期待を裏切る不意打ちになるかどうかと言う問題であって、法網をくぐる目的が明らかな場合は処罰しても、刑事政策的には、問題がないのです。
このような私流解釈理論に対して、それでは、なぜ原爆投下や、引き上げ船に対する撃沈行為や、東京大空襲が裁かれないのだと言う議論が起きてきます。
それは、そのとおりですが、それは政治論であって法律論では有りません。
検察の起訴独占主義と起訴便宜主義による不公平な検挙を、08/25/03「起訴便宜主義2(刑事訴訟法4)」 で問題にした事がありますが、政権党を中心とするである靖国参拝派は、国内では、こうした問題にほっかむりしていながら、国際問題では主張していると言う構図です。



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