08/15/06

罪刑法定主義と事後法処罰の禁止3(極東軍事裁判の有効性)

大津事件は、既に書いて来たように、実質は(現在では、人権思想で理解されている)司法権の独立を守るためと言うよりは、職人根性で頑張ってしまっただけ?と言う事件でした。
(政治判断が間違っていたので、頑張ったと言うよりは、国際情勢がどうであろうと、職人根性・・気質だけでがんばったと言ってもよかったでしょう。)
これは、現在靖国問題で騒がしい、極東軍事裁判の正統性に対する疑念と同じです。
いわゆるA級戦犯東条英機他が処刑されたのが、平和だったか人道に対する罪と言う戦後に創設された罪名によるものでした。
罪刑法定主義とは、その骨子はその行為以前に制定された法に違反したときに、その法に定められた刑罰しか科すことは出来ないと言うものです。
この原理から事後法処罰の禁止の原理が出てきます。
行為時に合法であったのに、その後の法律で禁止したからと言って、これを遡及して処罰出来ないと言うことです。
極東軍事裁判に戻しますと・・戦後に出来た国際法観念なのに、その規準で戦前の行為を遡及して裁くのは、法理上おかしいと言うのが、東京裁判非難論の基礎ですが、大津事件では同じことが問題になったと思えばいいでしょう。
欧米(アジアからインド人も入っています)の法学者=判事は、この法理上の疑問に対し、どう言う理屈か知りませんが、死刑宣告をしました。
(判決文を読んでいませんので、どう言う理由付けがあったのかまで知りません。)
私が思うには、司法権の独立とか罪刑法定主義といっても、職人気質を守るためにあるのではなく、それは人権擁護と功利主義哲学から出た手段に過ぎないものであることから来る結論の違いでしょう。
一国の為政者に人権擁護の観念は不要と言えば言い過ぎでしょうが、基本的人権と言うものは被支配者の保護のために育ってきた観念です。
日本国民には天皇や皇族が含まれず、基本的人権の対象にならないことを、07/08/03
「皇族は日本国民か?(戸籍制度 1)」のコラムで説明しました。
そのうえ、国対国の争闘に、(より多くを殺せば英雄として表彰される価値観の世界です。)基本的人権の概念を入れる余地はないでしょう。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資