08/13/06

裁判所構成法17(司法行政)

今回は、裁判所構成法下での司法行政権が、どうなっていたかのレビューです。
これまでところどころで解説しているように、裁判所の事務管理、行政権は司法大臣の権限でした。
以下は、これを条文で具体的に紹介して行くことになります。
先ず134条では、判事と並んで検事総長や検事が、司法大臣の「由を」以って行うことになっていて、司法大臣の意に副うように運用する仕組みでした。
「由を以って」と言うのは、直接的な指揮命令を受ける部下ではないことを(一種の外局)意味するのでしょう。
そして135条では、司法大臣は、「・・監督する」だけで、具体的な命令をできない仕組みです。
裁判内容自体には口出しできない仕組みでした。
そしてその監督の内容は、136条記載のように、抽象的な訓令が中心であって、後は、非違行為に対する論告だけです。

第四編 司法行政ノ職務及監督権

第百三十四条 合議裁判所長区裁判所ノ判事若ハ監督判事検事総長検事長検事正ハ司法大臣ノ由テ以テ司法行政ノ職務ヲ行フノ官吏トス
第百三十五条 司法行政監督権ノ施行ハ左ノ規程ニ依ル
  第一 司法大臣ハ各裁判所及各検事局ヲ監督ス
  第二 大審院長ハ大審院ヲ監督ス
  第三 控訴院長ハ其ノ控訴院及其ノ管轄区域内ノ下級裁判所ヲ監督ス
  第四 地方裁判所長ハ其ノ裁判所若ハ其ノ支部及其ノ管轄区域内ノ区裁判所ヲ監督ス
  第五 区裁判所ノ一人ノ判事若ハ監督判事ハ其ノ裁判所所属ノ書記及執達吏ヲ監督ス
  第六 検事総長ハ其ノ検事局及下級検事局ヲ監督ス
  第七 検事長ハ其ノ検事局及其ノ局ノ附置セラレタル控訴院管轄区域内ノ検事局ヲ監督ス
  第八 検事正ハ其ノ検事局及其ノ局ノ附置セラレタル地方裁判所管轄区域内ノ検事局ヲ監督ス
2 前項第四号ニ定メタル地方裁判所長ノ其ノ支部及其ノ管轄区域内ノ区裁判所ニ対スル監督ノ権限ハ民事地方裁判所及刑事地方裁判所アル場合ニ於テハ控訴院長又ハ其ノ指定シタル民事地方裁判所長若ハ刑事地方裁判所長之ヲ行フ
第百三十六条 前条ニ掲ケタル監督権ハ左ノ事項ヲ包含ス
  第一 官吏不適当又ハ不充分ニ取扱ヒタル事務ニ付其ノ注意ヲ促シ並ニ適当ニ其ノ事務ヲ取扱フコトヲ之ニ訓令スル事
  第二 官吏ノ職務上ト否トニ拘ラス其ノ地位ニ不相応ナル行状ニ付之ニ論告スル事
   但シ此ノ論告ヲ為ス前其ノ官吏ヲシテ弁明ヲ為スコトヲ得セシムヘシ
第百三十六条ノ二 合議裁判所長検事総長検事長検事正ハ其ノ監督ニ属スル判事若ハ検事ヲシテ司法行政事務ノ一部分ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第百三十七条 第十八条及第八十四条ニ掲ケタル官吏ハ第百三十五条ニ依リ行フヘキ監督ヲ受クルノ官吏中ニ之ヲ包含ス
第百三十八条 裁判所若ハ検事局ノ官吏ニシテ適当ニ其ノ職務ヲ行ハサル者又ハ其ノ行状其ノ地位ニ不相応ナル者ニ付第百三十六条ヲ適用スルコト能ハサルトキハ懲戒法ニ従ヒ之ヲ訴追ス
第百三十九条 前数条ニ掲ケタル司法行政ノ職務及監督権ハ判事若ハ検事其ノ官吏タルノ資格又ハ其ノ他ノ資格ヲ以テ為シタル事ニ対シテ起リタル請求ニ付其ノ請求ヲ満足セシムル為之ヲ執行スルコトヲ得ス
第百四十条 司法事務取扱ノ方法ニ対スル抗告殊ニ或ル事務ノ取扱方ニ対シ又ハ取扱ノ延滞若ハ拒絶ニ対スル抗告ハ此ノ編ニ掲ケタル司法行政ノ職務及監督権ニ依リ之ヲ処分ス
第百四十一条 裁判所及検事局ハ司法大臣又ハ監督権アル判事若ハ検事ノ要求アルトキハ法律上ノ事項又ハ司法行政ニ関ル事項ニ付意見ヲ述フ
第百四十二条 司法官庁ニ対シテ起リタル民事ノ訴訟ニ於テハ其ノ訴訟ヲ受ケタル裁判所ノ検事局ハ司法官庁ヲ代表ス
2 前項ニ定メタル権限ハ民事地方裁判所ニ関シテハ其ノ管轄区域ヲ同シクスル刑事地方裁判所ノ検事局之ヲ行フ
第百四十三条 此ノ編ニ掲ケタル前各条ノ規程ハ裁判上執務スル判事ノ裁判権ニ影響ヲ及ホシ又ハ之ヲ制限スルコトナシ



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