08/10/06
司法試験法の変遷3 (法曹養成の元締めと3権分立2)
どこかで法曹養成とその資格付与機関を一元的に管理するしかないとしても、その場合は、3権の一角を占める裁判所が管理し、そこに弁護士や検察官の代表が入るのが筋でしょう。
これを戦前の既得権の維持と言うことで、三権(立法司法行政)の一角を占める裁判官の給源である試験の管理を、法務省が担当スルコトとなったこと自体、3権分立の本筋から離れていたと言えるでしょう。
しかし政治は妥協の産物ですから、法務省の属すると言っても政治的に中立にするために、独立性の高い外局が管轄していただけでなく、法曹3者対等に委員会を構成すると言うことで、何とか辻褄が合っていました。
これが、平成15年の改正で、法務省の意のままになる委員会に改組してしまって、裁判官や弁護士の選抜試験を管理しているのは、憲法に実質違反する法律改正ではないでしょうか?
入り口を法務省が押さえた上で、これまで裁判所が管理していた合格後の法曹養成・・・司法修習制度を従来の2年から1年に短縮し、この代わりその大部分を同じく行政庁である文科省傘下の法科大学院の権限に移してしまったのです。
政治、社会経済の複雑化に伴い、もっと法律家を専門化する必要があると言うならば、司法研修所の上に専門過程を作るべきだと言うのが私の持論ですが、逆に試験過程や給源を単一化してしまって質の低下を図っているのが現状です。
給源の単純化については、法科大学院への入学強制により一旦社会人になった階層の再参加が殆ど出来なくなったこと、アルバイトしながらの勉強が不可能になったことから一定の富裕層の子弟に限られることになったこと、(そのうえ、これまで支給していた給費の廃止もあります)などなどで、これについてはこれまであちこちに書いていますので、サーチしてみてください。
レベルダウンについては、一定のレベルまで行かない学生の入学により、彼ら基礎教養のないものが意味もわからず法律相談や証人尋問の練習をしても、身につき難いだろうということです。
平成以降の大幅な司法改革の狙いは、法曹養成の質の向上と言うよりも、養成権限を裁判所や弁護士会から取り上げて行政庁による管理に移そうとする流れだったと言えるでしょう。
しかも、以下の注を読んでください。法務省の外局として人権擁護委員会を作るからと言う理由で、先に席を空けるために司法試験管理員会が外局たる独立委員かから格下げになったのでしたが、その人権擁護法案が国会を通過する見込みがない状態です。テイよく、だまされたようなものです。
注)人権擁護法案は2004年1月現在成立していません。人権委員会を法務省の外局とすることについては、警察・検察庁・刑務所・入国管理局などの法務省管轄の組織で発生している人権侵害に十分に対応できないのではないかとの批判もあり、民主党の対案では内閣府の外局とされています。そのため今後の政治の行方によっては、人権擁護法案が修正されて人権委員会が内閣府の外局になる可能性もないことはありません。しかし、既に司法試験法は改正されてしまっているので、司法試験委員会が「3条委員会」に戻ることはもはやないと思われます。
改正後(平成16年度から) 改正前(平成15年度まで)
法務大臣 司法試験管理委員会
<独立行政委員会>
(法曹3者の代表3名) ― 法務大臣
↓任命 ↓任命
司法試験委員会
(法曹と学識経験者の7名) 司法試験考査委員
(委員会推薦・法相任命)
↓設置
司法試験考査委員
(委員会推薦・法相任命)
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