08/09/05

検察官11とフランスの代官(Procureur)2

これまでも紹介していますが、ボワソナードは民法典の起草もしていて、これをボワソナード民法と学問上呼んでいることを、06/04/03「民法制定当時の事情(民法典論争1)」などのコラムで紹介しています。
検事制度が出来た翌年に、フランス大学教授のボワソナードを招き、最初は彼による西洋法の講義を受けた者によって、法典編纂作業に従事していたのですが、案を出しても出しても却下されてうまく行きませんでした。
そこで、刑事手続法(治罪法)や民法の編纂作業自体を、彼が担当するようになるのです。
民事・刑事両法典の編纂作業や講義が進むに連れて、ボワソナードによって、フランスの代官(ここはものの本に従っていますが、この翻訳もおかしいと思いますが、後に書きます)・検察?制度の移植が進み、これが現行民法にも受け継がれて、これまで紹介した後見人選任申し立て権者などとして残っているのです。
しかし、政府は、そのときフランス法のProcureurに対応した「代官」(人民の代表者と翻訳すべきでしょう)という名称に変更せずに、弾上台から変身・降格した検察・検事の呼称をそのままにして、それぞれの法律に取り込んだのです。
飽くまで、行政府から派遣した裁判の監視役と言う意味・権限を残したかったからでしょう。
フランス革命後、人民のための代表制度となったProcureurを取り入れたのに、これと相容れない裁判所監視機能 (この機能はとても、人民のための制度とは言えないでしょう・・・どちらかといえば、フランス革命前の王様のための制度です)を温存するために、最初に決めた検事・検察官の名称を変えることが出来なかったのではないしょうか。
私がこれを以って、接木に過ぎないというのです。
或いは、フランス文学などの翻訳で「Procureur」を検事と翻訳するのは正確ではないということです。
破毀院のコラムで、破毀院の翻訳だけヤケに詳しいと書きましたが、普通の国民にとっては、上級審の審理の範囲などは、細か過ぎて、100%と言ってよいほど関心がないのです。
現に、この読者の皆さんでさえ、自分の住んでいる日本の高裁では、どのくらいの主張が出来て、どこから先は出来ないかなど、詳しく知っていた方は殆どいないでしょう。
07/26/05「明治以降の裁判所の設置7(破毀院と大審院1)」以下のコラムで、少しばかり、日本の控訴要件を紹介しましたので、今ではかなりの方がご存知でしょうが、その紹介以前という意味です。
そんなマイナーな違いにこだわる翻訳がある一方で、「検事が王様のために監視機能を持っているのか、人民の立場で公益を守るためにあるのか?」という大きな違いを気にしないで、Procureurに代官をあて、検事を当てている翻訳界・文学界のセンスはおかしいのです。



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