08/06/05
民法143(後見等の申立権者)(弁護士制度の発達1)
一定の親族と検察官だけに、後見開始の申し立て権を限定するのは何故でしょうか?
近隣の人や内妻・同居人などに認めると、どう言う不都合があるのでしょうか?
民間に申し立て権を認めても、何ら不都合がない筈です。
仮に不当な申し立てがあっても、裁判所でチェックし、鑑定し判断する仕組みですから、誰が申し立てても結果は同じだと思います。
それに民間人が申し立てると、自分で後見人になって資産の横領などうまいことをするのではないかと思う方が多いでしょう。
歴史上後見人が資産を乗っ取って、叔父甥間の争いになる事例が多く、(王権の簒奪など)物語にもそういうものが多いので、皆さんがそういう印象をもたれるのは無理がないでしょう。
ちなみに、平将門の乱は、叔父の国香に領地を奪われたことに端を発するのですが、叔父が後見人になっていたから起きた事件ではありません。
当然のことながら、将門の時代には明治民法の後見制度がまだなかったでしょうし、その後豊臣秀吉が信長死亡後吉法師丸の後見になったのは有名なところでしょう。
そもそも後見制度はいつから出来たのか?慣習法的に徐々に発達して明治民法で完成したのでしょうから、時代ごとに意味が違うのは当然です。
それに加えて、制度がかっちりしたのは明治民法(現行民法でもあります)以降ですから、それ以前は権限も勿論違うのです。
このように後見人と言っても、時代ごとに意味が違うので、乗っ取るだけのどう言う権限があったのかにも関連しますが、秀吉は何を乗っ取ったのか?すら正確には不明なのです。
後見の歴史については、そのうち後見制度を集中的に書くときに掘り下げて書きたいと思っていますので今回はこのくらいにしましょう。
ともかく、後見と言うと乗っ取りのイメージが強いのは確かでしょう。
実際、現在の4親等内の親族による申し立ての場合に、そういう思惑・下心で申した立てすることが多いように見受けられるのですが、そうはならないのが実務です。
ところが、親族が選任されると親族の気安さから、使いこんでも事件にならないだろうという甘えがあって、不正に走る人が多いので、(長男が後見人の場合、使い込んだのが分っても弟などが刑事告訴まで踏み切るのはまれです。)結果はみんな弁護士が後見人になってしまって、当てが外れることが多いのです。
こうして後見人に選任されるのは、原則弁護士となっているのですが、弁護士としては1円の狂いもなく裁判所などに報告しなければなりませんので、お金や資産の不正流用がありえないのです。
このように、今では弁護士制度が充実しているので、申し立てに尽力した人がお金や資産を1銭も不当に手に入れることが出来ない仕組みですから安心なのです。
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