08/02/05

平賀書簡問題4(日弁連決議)提案理由3

先ず第1決議案でございますが、これは訴追委員会に対する抗議の決議、一の方は訴追決定に対するものであります。
二の方は照会状に対するものであります。
訴追委員会は逆に平賀判事に対して平賀書簡は職務熱心のあまり平賀メモは、平田裁判官に対するこれ等は勉強の参考として渡したものであるといっておりました故、訴追の決定をなして裁判所の見解とすら対立して司法権独立の尊厳を踏みにじった結果となった訳であります。
次に福島判事の平賀書簡公表を容認した行為は、職務上の義務違反ではありません。
かえってこれに抗議して裁判の独立を守ろうとしたものであります。
このことについて当時国民や裁判所がまったく問題にしていなかったのであります。
訴追委員会の職務違反であるとの結論はまったくのいいがかりとしか受け取れません。
国民的立場から平賀書簡のような裁判干渉行為は裁判所内だけで処理してはならないのである。
裁判の独立こそ重大な法益である。
それが正に犯されようとしている時にむしろこれを国民の面前で、国民の判断に基づいて処理されるようにすることが裁判官の職務上の義務ではないかと思う。
ここで一寸だけ裁判官が青法協に加入しているのがいいのかどうか、その是非について言い及んでいきたいと思う。この点につきましては、裁判所法52条が、積極的に政治運動をすることを禁じているのに過ぎないのである。
その最高裁判所の事務総局裁判所法遂条解説中178頁にある
『単に特定の政党に加入して政党員になったり一般国民の立場として政府や政党の政策を批判することは右の禁止に含まれないと』
解するというふうにして、裁判官の市民的自由を保障しているのである。
そういう裁判所の見解でもあるにもかかわらず青法協が一体全体政治団体であるか否かという議論は私はここでは論じたくありません。
訴追委員会は先の申上げた最高裁の石田長官モラル見解とすらかけ離れて、これをモラルの段階から一躍法律上の問題にしようとしてしまった。
そのように考えられるのであります。
どんな角度から見ても、違法不当ではないかと思う。
この度の訴追委員会の決定は、国民的立場においておおよそ縁遠く無関係になされて政治的めがねを通してなされたものといわざるを得ないのであります。
そこで第二、照会上発送の問題でありますが、青法協の会員であることを理由とするような訴追請求が裁判官弾劾制度本来の趣旨から見て適正かどうか、徹底的な検討を行う必要があろうかと思うのである。
それにも拘わらず、これをまったくしないで、その以前に被訴追裁判官個々に対し、不本意ともいうべき照会状を発し、回答がなければ会員として取扱うという、いわゆる一種の強制調査に及んだ。
これ自体が慎重な態度を変えたものではないか、という考えであります。
福島判事に対する決定理由中にはすでに福島裁判官が青法協会員であることは、裁判官の威信を著しく失墜したことにあたらないとして、元来訴追要件に該当しないということに自ら明示しているのであります。
従って右照会状発送は、まったく妥当ではございません。
訴追請求の名をかりて裁判官の思想、良心の自由を侵害しているものといわざるを得ません。
この照会状に関しては今年の12月25日を回答期間として発せられておりまして、もし、回答しない場合には別個の調査方法を採ることが明らかにされております。
そして、その別個の調査とはいわずものであります。当然に個々の裁判官に対する喚問を含むものであろうということはたやすく出来るものでありまして、今や、我々の同僚若しくは種々の個々の裁判官に対して、裁判官はこの照会状を受けた裁判官は特に、自らの思想良心を守り抜く必要と権力に直接の踏込みの感に口にいい表わせない苦悩の中に身をおいている。
我々はどうしたってものをいいません。そういうような雰囲気です。
この裁判官の苦悩は、今や正に日本の民主主義の苦悩であります。
そのような裁判官訴追委員会の措置は明らかに裁判官弾劾制度目的から逸脱している。政治観点からなしたものといわれます。
裁判官の思想良心を侵害し、外部から裁判官及び司法権の独立を侵害するものである。
従って、不当な照会でありますから、それは即時撤回されるべきであると思う。



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