08/02/05

平賀書簡問題3(日弁連決議提案理由2)

ここで特に重要なことは、昭和44年3月25日、時の法務大臣であります。
西郷吉之助氏がその先日のとー公案(都公安)条例無罪判決について、記者会見の席上、裁判所だけは手は出せないが、もはや何等(か)の歯どめの必要(性)が(否定出来)なくなった、と答弁しております。
更に同年4月22日自民党が昭和45年4月2日の最高裁、トキヨウソ(都教組)判決等を採り上げてこれを立法主義に反するものだと批判している(。)
判決ケイコウも調査にために、これでは(?)党内に裁判制度調査特別委員会を設置することが決定したのであります。
そのことは正にこの時期において、裁判の内容に拘わる問題がすなわち、裁判官の思想に拘わる問題として政府自民党において深い関心を示し始めたことを意味するもの「で」(と)断言出来ます。
ここにおいて司法に対する政治的勧誘(干渉?)の危険が芽ばえて来たということがいえます。
それでは裁判所はどうなのか。
一方裁判所におきましては、あまりにも露骨な自民党の調査委員会設置に対しては、岸事務総長談話の形で反発を示してはおりましたが、昨年1月1日の横田(石田の誤り?)長官は新年の言葉において下級審の意見判決等令状事務等に対するこれ等の批判を採り上げました。
そして部外からの真面目な批判に対しては正しく答える必要があるのだということを述べております。
そして思想的な同調を示したということがいえるのでありますが、更に長官は、就任直後の石田長官も雑誌のフォートの3月号に長谷川サイジ氏との対談におきまして、下級審の意見判決をかるがるしくするなど非難しております。
このような状況の中で、先程も話が出ましたいわゆる平賀書簡問題が明るみに出された訳であります。
平賀判事は昭和44年8月4日平田(?)裁判官に対していわゆる長治ナイキ訴訟の問題点について詳細な平賀メモを交付しております。
ついで同月10日、12日に予定されておりました執行停止期日を延期させた上で、同月14日の平賀書簡を福島判事の自宅に届けさせているのであります。
この平賀書簡の内容は単に問題点の指摘や一般論にとどまりません。
具体的詳細な理由をつけて一定方向の結論まで出しているというものです。このような簡単な経過から見ても、平賀書簡は裁判の内容に強く干渉しようとしたことを見られるものでありまして裁判官の独立を内部から侵害し司法権独立に対する重大な侵害であることが明らかであります。だから札幌地方裁判所裁判官会議は9月13日平賀判事に対して異例の厳重注意処分に附する旨決定している。
最高裁判所も又9月20日異例の臨時裁判官会議を開きまして、裁判の独立と構成について国民の疑惑を招き誠に遺憾であるとして厳重な注意処分に附しているのである。
それと同時に、即日平賀所長たる地位をといて東京高裁に転出を発令しているのであります。
従って平賀書簡が裁判の干渉であることは、そのこと自体においてももはや明らかなはずで訴追委員会に当時残されていた措置問題というものは訴追に踏切るか訴追猶予にとどまるかいずれか一方を選べというようなことであると見ていたことでありまして、国民と及び特に裁判所などもその体 (大?)勢にあったことと思うのであります。
ところが、この問題について自民党、モリヤマキンジ代議士鹿児島地裁所長のイイモリ(飯守)重任裁判官は逆に福島判事が青法協会員である、そしてこの福島判事こそが問題裁判官である、というふうに指摘して文字通り問題のすりかえを行なったのである。
青法協(筆者読み替え)適し(敵視?)の一代(大)キャンペーンがここに展開されたのであります。
裁判所部内においてはあたかもこれに応ずるが如く昨年秋以来全国的規模にわたって青法協退会干渉が広げられて来たのであります。
この事実の経過はすでにアンケート調査に基づく6月13日以降週間朝日特集記事によって周知の事実になっておりますので、くどくど申上げませんが、最高裁当局も非公式とはいいながらこのような事実の存在を認めざるを得なくなっておる。
この過程で約50人の会員裁判官が内容証明によって脱会勧告を出した事実をそれは何よりの証拠であります。
この内容証明というものは一体何を意味するものでありましょうか、そして何を証明しようというものでしょうか。
上司や先輩からの必要な脱会勧告は、多くの裁判官に不安と苦悩と焦慮をもたらしました。
このような脱会勧告は苛烈を極めた丁度その頃4月8日に裁判官の団体加入に関する岸事務総長の談話が発表されました。
そして5月2日それを補完しいっそう精密な形で具体的な方向を打出したいわゆる石田長官発言が行なわれたのであります。前に述べました背景からこの石田長官発言をながめますならば、問題は字句に拘わる抽象的な事件の問題ではありません。
そのような政治的背景のもとで裁判官の思想統制を許していいのかどうかというような極めて具体的なしかも切迫した現実的な問題であるというしかありません。
このような観点から私達はこの発言について充分なる批判的姿勢を持って望む必要があろうかと思います。
事実石田長官の発言については法律家内部からもジャーナリズム関係からも多く批判がなされていまして世論はこの問題、つまり裁判の独立、司法権の独立について重大な関心をよせるに至っているのである。
今回の訴追の決定、青法協会員に対する措置はこのような背景の中で採られたものであるということ、私達はキモに命ずる必要があろうかと思います。
ことにここに初めて外部から裁判所外部からの政治権力からする直接の介入が行なわれたということが今迄積立られた、私が述べました動きの総仕上げとして新しい段階をかくして見る必要があろうかと思います。多少前置きが長くなって恐縮でございましたが、そこで決議案の説明に移りたいと思います。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

稲垣法律事務所コラム内:憲法に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:裁判所に関するコラム


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資