08/07/04

与力(9)(京都所司代)配下

02/26/04「与力 (寄り騎)8と足高の制の功罪1」のコラムで与力と足し高の違い、家録の話しから、スポーツが生まれた原因・鎖国と平和主義さらには天皇家のあり方(独立)、休日、明治政府のリストラ、近鉄問題、放送の免許制などなどまで話が行ってしまいました。
ここで、話を平成16年2月26日の「奉行と与力の関係」(02/19/04「江戸時代の裁判1(出入筋と吟味筋)与力 同心」の連載中でした)に戻しましょう。
だいぶ時間がたっていますので、お忘れの方は上記コラムを読み直してください。
奉行所の与力と言うのは、奉行になった旗本の家禄を増やさずに、応援をつけただけですから、奉行の家来ではなく、奉行と同じ公務員となりますので「配下」と呼ばれます。
信長が京に進駐したときの京町奉行は、木下藤吉郎でしたから、ある程度の大名がやれる職責です。
それに江戸町奉行というのは平和時の江戸市中での唯一の現役軍事力でもありますから、江戸市中の警備を特定大名にゆだねると、本能寺の変の2の舞になりかねません。
軽輩の旗本にゆだねて、家臣ではない多数の与力、同心を使用させて、自由な軍事行動をし難くするための知恵でもあったでしょう。

大名に任せたのでは、大名の家臣は大名家の実入りを多くし、外に向かっては少しでも負担を少なくしようとするのは、忠勤そのものですから、賞賛されるべき行為です。
大名が負担した、各種工事の場合を想像すれば容易に分ることです。
これが旗本と与力の関係になれば、奉行が経費節減で自分の懐を潤す行為は、与力からみれば、上司の不正行為(私服を肥やす行為)となり大目付などに密告することに繋がります。
もちろん主君が「敵は本能寺(江戸城)」といえば、あらかじめ根回しなどなくとも瞬時に文句なしに一丸となって突進するでしょう。
これに対し、与力、同心は上司の命には従いますが、彼らは奉行の家臣ではないので、よほどの根回しがないと徳川に対する謀反には組しません。
根回しというのは、発覚のリスクを大きくするので簡単には出来ません。
こうして江戸市中を警護できるだけの武力を、一大名だけに常備させておくわけに行かなかったことも与力制度の発生原因だったかもしれません。
奉行と与力や同心の関係は、09/16/03「日本国憲法下の総理 2(憲法29) 「新しい酒は新しい皮衣に2」のコラムで、明治憲法下の内閣総理大臣と国務大臣の関係を同僚中の首班でしかない弱い関係であったと説明したことがありますが、これと似ています。
「寄り騎」から「与力」に文字がいつの間にか変わったのは、戦国時代の戦闘目的の応援・騎馬武者から実務的な仕事の応援に目的が変わった面もあるでしょうが、「与力4」のコラムで紹介したように、臨時応援から恒常的なものになった性質変更が大きいでしょう。
臨時・偶発的な寄り合いの「寄」から与る(あずかる)「与」に変わったのは、それだけのこと(変化)があったのでしょう。
現在でも参与という役職がありますが、今でも、局部次長課長という職制ライン外の識者・特命者ですが、ある程度継続的関係をあらわします。
現在マスコミに良く出る参与は、北朝鮮拉致被害者の世話係?外務省の中山参与でしょうか?
与力といえば、各種捕り物帖の映画やテレビ番組などで、奉行所配下の与力のイメージが出来ていると思います。
ところが、与力は京都所司代、大番頭(ばんとうではなく、「かしら」と読みます)以下の諸職・諸奉行に属した一種の臨時雇い(法的には1代限りでした)全般の中級武士を意味したもので、刑事事件だけをやっていた人の名称ではないのです。
話が変わりますが、ついでに「所司代」の語源を紹介しますと(私が知ってる限りのことです)足利政権では、侍所が公武の警護と、京の検断を司りましたが、その長官を所司(頭人)と呼んだことから、徳川時代に京の市中警護の役を所司代と呼んだたのではないかと思います。
ただし、それが何故所司「代」というのかまでは、今のところ私には分りません。




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