08/26/03

起訴便宜主義3(刑事訴訟法5)(政治的思惑と刑事政策の違い)


前回までのコラムで紹介しましたように、検察官は、政治的センスを持ちながら、裁量的に事件処理する権限が独占的に与えられましたので、その運用が、政治的に偏頗であっては、民主国家が危殆に瀕してしまいます。
ところで、政治的センスと、政治的思惑の違いについて、疑問をお持ちの方がいるかも知れませんので、ここで、少し分析しておきましょう。
政治的センスとか政策的考慮とは、今でいえば新たに社会問題になっている、やみ金融問題などがあるでしょう。
こうした事件は、一つ一つは、わずか3万円や4万円の借金の金利として、4〜5日で一万円取るのが超高利であるというだけですから、われわれ弁護士が、一人の被害者について告訴しても金額的には、従来基準で言えば微罪処分の対象かもしれません。
しかし、これが燎原の火のように広がり、社会性を帯びてくると、全体としてどうかと言う視点を欠いた判断では困ります。
民事で言えば、一人一人としての、被害が小額ではあるけれども、全国的には何千億円の被害になる事があります。
例えば、雪印の腐った牛乳を飲んでおなかをこわしたとしても、その一人の被害額は知れてます。
こうした被害が増えてきて、アメリカでは、クラスアクション、懲罰賠償などの訴訟システムが、発達してきた事を平成14年4月10日以降の連載コラムで紹介しました。
今問題になっているヤミ金融問題は、民事の消費者問題の刑事版と言うところでしょうか?
ひとりひとりの被害は小さい上に、業者自体も、暴力団傘下で細分化していて、ひっきりなしに、名称や場所を変えたりして、摘発逃れを画策していますので、警察に相談しても、面倒くさがることになります。
それを良いことに、暴力団が格好の資金源として目をつけていたのです。
こういう新手の事件に対しては、個別の被害届に応じて捜査していたのでは、トカゲの尻尾ばかり追いまわしているようで解決になりません。
まして、山口組の幹部が、これを全国展開して取り仕切って、何千億円と言う違法利益を上げているとあっては、なおさらです。
そこで今回の検挙は、暴力団がbackにいるグループの摘発にこぎつけたのですから、快挙と言うべきでしょう。
その他に、政治家の絡んだ事件としては、オレンジ共済事件がありました。
この様に、捜査機関は、いつも時代精紳を敏感に嗅ぎ取って、事件処理するセンスが必要な事は言うまでもないことなのです。




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