08/15/03

検察の独立性 2

次に検察と、行政庁(政治権力)との関係を見てみましょう。

検察庁法

第十四条 法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。
但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。

第十五条 検事総長、次長検事及び各検事長は一級とし、その任免は、内閣が行い、天皇が、これを認証する。

  1. 検事は、一級又は二級とし、副検事は、二級とする。

第十六条 検事長、検事及び副検事の職は、法務大臣が、これを補する。

  1. 副検事は、区検察庁の検察官の職のみにこれを補するものとする。」

第14条によって法務大臣は、個々の検事を指揮出来そうですが、実はこの条文は、逆に検事の独立性を保障した規定であると解釈されています。検事の個別の捜査に関しては、この条文により、検事総長に対し、指揮を出来るだけで、個々の検事には何も言うことは出来ないからです。
そうは言っても、下級裁判所裁判官の補職は、「06/15/03裁判所法(組織3)3(下級裁判所の裁判官の任免)」前後のコラムで(補職の意味も、)紹介しましたように、最高裁判所が独自に行うのに対し、検察庁法第16条では、個々の検事に対する補職権限は、検事総長にはなく法務大臣が直接行使出来ることになっています。
この16条の存在のために、法務大臣は検事を直接指揮出来なくても、法務大臣の言うことを聞かない検事に対しては、(下部機関に命じなくとも、)大臣が直接、転勤、転任命令を出せるのですから、これでは一般会社員や公務員よりも弱い立場です。
仮に、そこまでしないで、検事総長に対する一般指揮しかしなかったとしても、内閣で任命される検事総長たった1人の人格識見にかかって来ます。
これでは、心理的にかなり重荷ですし、憲法で独立性が保障されている訳でもないから尚更です。(言うことを聞かない総長の免職権も内閣にあるのです。)
最高裁判事は、一旦任命された以上、内閣は、罷免することが出来ないことに比べても、検事総長は極端に弱いのです。
史上有名な佐藤栄作氏(後に総理になりました。)の疑獄事件に対する指揮権発動は、結局検事総長が拒否出来なくて、捜査しないで終わったのです。
世論の轟々タル非難の中、法務大臣は地位を失いましたがそれだけのことでした。(幹事長の佐藤氏から見れば、法務大臣程度は、トカゲの尻尾と言うところでしょうか?)
権力に都合が悪い事件は、明らかな違法行為に対する捜査でさえ、佐藤氏の事件で明らかなように、妨害出来る程、政治の検察に対する影響力は強力です。
まして、与野党、こぞってある種の違法行為をしているときに、権力者の癇に触った人物を狙い撃ちして検挙しても、証拠がある以上は、誰もそれをとめることは出来ません。




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